■中曽根康弘・日の出山荘
権力への嗅覚が鋭く、「政界の風見鶏」と揶揄されることもあった中曽根の館といえば奥多摩の日の出山荘だろう。1983年11月、レーガン大統領夫妻をこのひなびた古民家に招いて「ロン・ヤス会談」をアピールした。
それまでの日の出山荘は一人沈思黙考するための場所に過ぎなかったが、これを機に権力の館に変貌した。1987年には宮澤喜一蔵相、竹下登幹事長、安倍晋太郎総務会長のニューリーダーの3人を誘い、ロンと語り合ったのと同じ炉端で酒を酌み交わすパフォーマンスを演出。
その後も書院を建て増し、ソ連・ゴルバチョフ元大統領や韓国・全斗換元大統領らを招くなど、権力と密接な存在となっていった。現在は「日米首脳会談記念館」として公開されている。
※週刊ポスト2012年9月21・28日号