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100歳前後までの長寿 社交的・外交的で楽天的な性格と判明

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、長生きと性格の関係について解説する。

 * * *
 私の長寿研究は、登山家でプロのスキーヤーだった三浦敬三さんが100歳で山スキーを若者のように楽しんでいる姿に注目することから始まった。敬三さんは100歳になっても、「1日として同じ雪を滑ったことはない」とテレビのインタビューに答え、最後の最後まで探究心を忘れなかった。

 一方、息子さんで冒険家の三浦雄一郎さんは、冒険好きでチャレンジ精神が旺盛。1970年にはエベレストのサウスコルをスキーで滑降し、その勇敢な姿を記録した映像は「THE MAN WHO SKIED DOWN EVEREST(エベレストを滑降した男)」というタイトルで米アカデミー賞の長編記録映画部門賞を受賞した。

 一見、対照的な性格の敬三さんと雄一郎さんだが、「自然を愛すること」や「常に前向きに生きる」姿勢は共通していた。ここで一つの疑問が生まれる。果たして、「長寿を達成しやすい性格」は、長寿形質として遺伝するのだろうか?

 米国ニューヨークにあるアルバート・アインシュタイン医科大学のニール・バルジライ博士らの研究チームは、遺伝的特性が均質である東欧系ユダヤ人243人(平均年齢97.6歳±2.79歳、男性62人、女性181人)を対象に長寿者の性格や気質を調査し、平均的アメリカ人と比較・検討した。

 その結果、100歳前後まで長生きする東欧系ユダヤ人は、身体活動を活発に行なっているだけではなく、社交的、外交的で楽天的な性格を有していることが分かった。さらにこれらの性格に加えて、前向きで積極的な生き方をして、よく笑うことが人生には重要である──と認識している人が多かった。幅広い人間関係を持ち、感情を内に秘めずに外に表現する傾向が強いことなども調査で明らかとなった。

 また、神経質な性格を有する人の割合が平均的アメリカ人よりも少なく、誠実で良心的な気質を有する人が多かったという。このような東欧系ユダヤ人の性格や気質が、長寿を実現するための「サクセスフル・エイジング」の重要な遺伝的構成要素になっていると、バルジライ博士は考察している。

※週刊ポスト2012年10月5日号

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