国内

政治再生には国民がマスコミ疑う必要あり 政策に投票すべし

 政策より政局を重視する、とされる言葉を意味する“永田町の論理”――新聞やテレビの政治批判の常套句だ。だが、果たして本当にそうだろうか。

 そもそも新聞やテレビの「政治部記者」に政策を論じる能力など育たない。彼らは「○○党番」「総理番」「財務省番」などの役割を与えられ、四六時中、記者クラブにたむろして、誰が誰に会ったか、会見や囲み取材で何を言ったか、どんな発表があったかを社に報告することが仕事である。この作業のどこで政策を報じる能力が身に付くのか。

 彼らはそうやって記者クラブにしがみつき、官僚や政治家から情報を与えられたまま丸呑みし、悪いことに消化もできずにそのまま吐き出して国民に撒き散らす。そうしていれば仕事になるから、官庁や大政党、警察・検察、日銀や経団連(いずれも大マスコミだけを対象とした記者クラブを持つ組織だ)が大好きである。当然、それらの既存体制(アンシャン・レジーム)を壊そうとする動きは徹底的に叩く。

 一連の第三極批判には、そうしたマスコミのバイアスがあることも考えなければならない。維新の会の橋下徹氏はマスコミ批判で名を馳せた。石原慎太郎氏は、都知事時代に記者クラブだけしか入れなかった知事会見をオープン化した。

 そして小沢一郎氏は、20年も前に主要政治家で初めて記者会見のオープン化と記者クラブの廃止を訴えた人物である。彼らがいま大マスコミに叩かれ、無視され、裁判で二度にわたり無罪となっても大悪人のように書かれ続けていることは偶然ではあるまい。

 もうひとつ加えるならば、選挙ほど大マスコミにとって美味しい餌はないのだ。日々のニュース素材に事欠かないことはもちろんだが、もっと直接的にビジネスになる。今回の総選挙では、政党・候補の乱立で選挙公営費(税金)は350億円にも達すると見られている。

 そのうち300億円程度は新聞やテレビの選挙広告、公選ビラ、政見放送などの代金に充てられる。つまり大マスコミの売り上げだ。さらに大政党は数億~数十億円の広告宣伝費をバラ撒く。これらも大マスコミに流れる。

 政治の再生には、まず国民が大マスコミを疑うことが必要だ。「報じられかた」ではなく「政策」で一票を投じようではないか。

※SAPIO2013年1月号

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン