「一晩で50万円くらい使うこともしょっちゅうでした。若造でしたから、高収入でスゴイなんていわれちゃうと、勘違いしてしまうんですよね」
学生時代からマーケティングの仕事にかかわり、卒業後は放送作家としても数々のヒット番組を生み出していた野呂エイシロウさん(44才)。20代にして1000万円以上の年収があったという。
しかし、いくら高収入でも、それ以上に使っていれば、お金が足りなくなるのもあたり前。サラ金にまで借金があり、3日に1度は返済に追われた。じゃんじゃんお金を使う一方、お金がなくて、食パン1斤で1週間を過ごしたこともある。
ある夜、銀座のクラブで数十万を散財して店を出ると、財布の中にはわずかな小銭しかなかった。タクシーに乗ることもできず夜中に歩いて帰った経験が野呂さんの転機となった。
「トボトボ歩きながら1時間半、こんなに働いているのに、なぜ、お金がないのだろう、と冷静に考えさせられた夜道だったんです」(野呂さん・以下「」同)
翌日から始めたのが、借金がいくらあるかの確認だった。サラ金も含め数社から借りており、その総額は、なんと1000万円もあった。
一方、預金も複数の口座にバラバラにあり、それをひとつにまとめ、手元にいくらあるかを確認。そして判明したのは、少し頑張ればすべての借金が返済できることだった。その日から、倹約生活をすること3か月、借金は完済した。
リセットに成功したところで、貯金をすると決意。そのために始めたのが、自分のお金の使い方の洗い直しだ。
方法は簡単。お金を支払ったときのレシートや領収書をすべて集め、1日の終わりに、それらをA4用紙に貼り付けるだけだ。
「最初は、集まるレシートの多さに愕然としました。なんとなくコンビニに立ち寄り、意識せずに使っている細かいお金が、なんと多いことか!」
そのことに気づいただけで、コンビニへの立ち寄りが減り、レシートの数も出費も目に見えて減っていった。レシートが減って紙に貼る作業が簡単になってきたところでわかったのは、意味のある買い物とそうでない買い物があることだ。そこで始めたのが、○×チェック。
「自分にとって意味のある買い物であれば○、ムダ遣いであれば×とレシートに書き込むようにしたんです」
続けること1か月、考えなしに買っていたムダ遣いが次第に少なくなっていき、余裕ができ、徐々に貯金が増え始めた。
1日の終わりに、その日の支出を振り返る作業のことを野呂さんは『お金のお片づけ』と呼んでいる。不思議なことに、お金の片づけができるようになると、部屋の片づけもできるようになった。
「お金を好き放題使っていたころは、部屋の中もごっちゃごちゃでした。それが、毎日、きちんとお金のお片づけをしていると、すべてをきちんとしようという意識がうまれてくるんですかねぇ、整理整頓ができるようになりました」
出したものはしまう、いらないものは捨てる、汚したらきれいにする。それだけで、部屋は驚くほど、きれいになる。「仕事の集中力も上がり、仕事の質も量も向上しました」
と、野呂さん。当然、収入もアップし、よりお金が貯まる状況になってきている。
※女性セブン2013年1月10・17日号