高木道郎氏は1953年生まれ。フリーライターとして釣り雑誌や単行本などの出版に携わり、北海道から沖縄、海外まで釣行している。その高木氏が、危険な釣り場について解説する。
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堤防の役割は防波であり、波止である。したがって、堤防は荒波が打ち寄せるような場所に設置されることが多い。また、波が堤防を越えてしまう危険性の高い場所などでは、堤防の外側に消波ブロックを積み上げる造設パターンが一般的である。
消波ブロックは波消しブロックとも呼ばれ、打ち寄せる波の力を分散するために造られたコンクリートブロックのこと。以前はテトラ、テトラポッドという呼び名が一般的だったが、これは登録商標であり、固有名詞なので、一般名詞としては消波ブロックが用いられるようになった。
ちなみにテトラポッドは4本脚を意味するギリシア語が語源。消波ブロックにはテトラポッドのような立体型のほか、平型、階段型、直積型などがあり、波や潮流の特性、使用する海岸の地形や自然環境に合わせて使い分けられている。
波の力を弱めるには波力や水流を分散する隙間を設ける必要があり、ブロックの形状は積み重ねたときに効率よく隙間ができるように設計されている。この隙間が魚たちには格好の棲処となる。
現在ではアクアリーフ、アバロン、三基ブロック、六脚ブロック、シーロック、中空三角ブロックなどの種類があり、その形状や大きさは釣りの足場にも影響する。並べ方が不規則でも足場を確保できれば釣りは可能だが、ブロック自体が大きいと足場が安定せず、隙間も広くなるので転落の危険が増す。
消波ブロック上の釣りは基本的に自己責任で行ない、立入禁止や釣り禁止となっている場所には入らないこと。ちなみに、私はブロックからの転落経験がある。幸い無傷だったが、買ったばかりの竿とリールはついに戻らなかった。ウキや小物などの落下事件は数知れず。故に、私は消波ブロックの釣りが苦手であり、よほどのことがない限りは立ち入らない。
※週刊ポスト2013年2月1日号