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伊調千春の母校・網野高校 レスリング部顧問が体罰で指導自粛

「おめでとうレスリング部 2階級全国制覇!! 国体出場決定!!」──学校の校門脇には、こんな横断幕がかかっていた。

 京都駅から電車を乗り継いで3時間。京丹後市の北端、日本海に面したのどかな漁村に京都府立網野高校はある。

 同校レスリング部は、ロンドン五輪金メダリストの伊調馨(28才)の姉で、アテネ及び北京五輪ともに銀メダリストの伊調千春(31才)や2006、2008年の世界選手権金メダリストの正田絢子(31才)、アテネ五輪銅メダリストの井上謙二(36才)ら数多くのメダリストを輩出している。そんな超名門校が、体罰問題で揺れている。ある在校生の母親がこう話す。

「問題なのは、レスリング部顧問のA先生(41才)です。彼の部員への体罰があまりにひどく、府の教育委員会が調査に乗り出したんです」

 取材を進めると、A先生の体罰について、次々と証言が出てきた。

「(A先生は)スパルタ教師で、“めっちゃ怖い”と生徒はみんな恐れています。練習をサボった罰で、丸坊主にさせられた生徒もいます。A先生は練習中に部員がミスしたり、集中していないと怒鳴りちらすうえ、すぐ手が出るんです。部員に対して、顔面を平手打ちするのは当たり前ですよ」(在校生のひとり)

 そして府教委が調査に入るきっかけとなったのは、昨年6月の出来事だったという。

「3年生の男子部員Bくんが練習中に肩を脱臼したんです。それでもA先生は病院にも連れて行かず、そのまま練習を続けさせたそうです。ケガが悪化したBくんは入院を余儀なくされました。これに怒ったBくんの両親が、教育委員会に訴え出たんです」(前出・在校生の母親)

 関東の実家から1人、レスリング留学していたBくんは、トラブルが起こるまでA先生の自宅で下宿生活をしていたという。しかし今は先生の家からも出て、部活にも参加していないそうだ。

 Bくんの父親に話を聞くと、「何もお話しできません」と固く口を閉ざしたままだった。しかし、前出の在校生の母親がこう話す。

「現在、Bくんのご両親は弁護士を立て、学校の告訴を含めた法的措置も考えているそうです」

 A先生は2003年に前任者の転任に伴い網野高校に異動、レスリング部の顧問となった。全国から有望な人材を集め、熱心な指導で、同校を強豪校へと育てあげた。遠方からの生徒は自宅で下宿生活をさせながら公私にわたって面倒をみている。

 全国大会常連の同校レスリング部の地元における注目度は高く、1月18日夜に放送されたNHK関西ローカルの番組では、網野高校のレスリング部が特集されている。番組にはA先生も出演し、「休みは1年に10日しかない」と熱血指導ぶりをアピールしていた。

 体罰を訴える生徒がいる一方で、A先生を慕う生徒がいることも事実だ。レスリング部の現役部員の一人がこう話す。

「A先生は熱心だから部員の気合が足りないと怒鳴ることもあるけど、それは生徒を本気で思ってくれているからです。熱血で、本当にいい先生です」

 現役部員の父親もA先生をこう擁護する。

「確かに厳しい指導で、練習中に生徒がケガすることもありますが、レスリングは格闘技ですよ。ぶつかり合ってなんぼでしょう。生徒も先生もいつも本気。それでいいんです」

 網野高校の副校長は、府教委の調査が入っていることを認めた上でこうコメントする。

「部員のケガについては真摯に対応を進めています。徹底した調査をして“体罰は許さない”という姿勢で対応を進めています。大阪の事件もあったので、速やかに対応するつもりです」

 京都府教育委員会も、「網野高校の体罰疑惑は現在調査中で、まだ結論は出ていない」と話している。

※女性セブン2013年2月14日号

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