ビジネス

アベノミクスは増税による富裕層の国外逃避防げずと大前研一

 アベノミクスは、マスコミ等から称賛されるほどの内容を持っていないとの意見を持つのが大前研一氏だ。そして、富裕層を満足させ、一般大衆に金持ち優遇ではないと納得させる、斬新なアイデアこそアベノミクスに必要だと説く。

 * * *
 今はフランスのオランド政権やアメリカのオバマ政権も富裕層をターゲットにした増税一直線である。フランスでは、所得税を75%に引き上げる計画に反発した俳優ジェラール・ドパルデュー氏が国籍を所得税率13%のロシアに変更し、フランス一の富豪といわれるモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)のCEO(最高経営責任者)ベルナール・アルノー氏も税制面で有利なベルギーの(二重)国籍取得を申請したという。

 アメリカでも、大型減税の失効と強制的な歳出削減が重なる「財政の崖」の回避に向けた与野党協議の結果、減税を継続する世帯年収の上限を45万ドル(約4000万円)とすることになった。逆にいえば、年収45万ドル超の世帯は大幅な増税になるので、これからアメリカの富裕層は続々と海外に脱出するに違いない。

 結局、北欧などの一部を除いて貧しい人々のほうが多い先進国では安易に富裕層に増税しようとしているわけだ。結果、富裕層は国外に逃避し、税金を取りっぱぐれてしまう。富裕層が重税にあえいでお金を使わなくなったら、消費が上向くこともない。

 所得税や相続税を回避するために富裕層が祖国を捨てるという事態を避け、一般大衆に金持ち優遇ではないと納得させるためには、従来と全く違うアイデアが必要になる。

 たとえば、遺産は必ず「世界」「祖国」「子孫」に3等分するとか、生前贈与分は消費に貢献した(何かを買った)という証拠があれば相続税の対象から除外する、といった景気刺激につながる新しいシステムを前述の規制緩和などと組み合わせてつくるべきなのだ。

 そういうアイデアが何もないアベノミクスの行く末は暗いといわざるを得ない。

※週刊ポスト2013年2月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン