■「冬にもMUHI」関連商品の成功ポイントは、細やかなニーズの探索と実力のある商材の提案
皮膚は、毛が生えている部位、湿っている部位、常に衣類との摩擦が起こる部位、外気にさらされている部位などなど、様々です。そのため、荒れ、割れ、かゆみなどといった症状も、部位、季節、年齢により発症のメカニズムがそれぞれ異なる場合が多々あります。
乾燥肌トラブルに関して当社が行った調査の中で多く聞かれた声は、従来の市販薬の効き目には満足していない、気休め程度として使用している、というものでした。前述のように、一括りに乾燥肌ととらえると、実は満足度の低いユーザーがでてきてしまうのではないかと考えました。
試行錯誤の中、当社では、乾燥、寒さによる血行不良により、肌そのものの自立的な回復ができず、同じ症状を冬の間中繰り返してしまうという不満点に着目しました。そこで、「冬にもMUHI」シリーズには、弱った肌細胞を活性化し、自立的な修復機能を高める「パンテノール」という有効成分を共通配合しています。
現在の「冬にもMUHI」ラインナップは4商品。「ムヒソフト」(全身性の冬の間繰り返すかゆみ肌の治療薬)、「ヒビケア」(手・指の何度も繰り返しパックリ割れるひび割れ治療薬)、「ヒビケアFT」(ぶ厚いかかとの深いパックリ割れ修復治療薬)、「リペアクト」(すねなどの亀裂粉ふき・荒れ割れ肌の治療薬)と、きめ細やかな商品ラインナップとすることで、それぞれの症状に対する効果の満足度を高めています。
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専務によると、現在、かゆみ止めのムヒシリーズを中心とした夏季の売上と、乾燥肌トラブルなどの冬の売上の構成比は7:3だという。今後は「冬にもMUHI」を拡大させることで、この構成比を5:5にまで拡大していきたいとの考えだ。夏向け、冬向けといった“カテゴリ”先にありきではなく、顧客の声に細やかに耳を傾け、実力のある商品でその声に応え続ける――奇抜な手法でも、華やかなプロジェクトでもない。その真摯な姿勢こそが、成熟していたかと思われていた市場に風穴を開けたのだ。