国際情報

韓国兵士ロッカーは男性化粧品の山でスマホ無しで軍生活無理

 北朝鮮が長距離ミサイルに核実験と軍事挑発を続けているのに、対峙する韓国軍兵士の士気は低下する一方だ。軍事境界線の最前線を訪れた産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏がリポートする。

 * * *
 先ごろ北朝鮮との南北軍事境界線の中部前線に行ってきた。朝鮮戦争(1950~53年)当時の最激戦地で「鉄の三角地帯」と呼ばれた韓国側の要衝・鉄原。ソウルの北東70kmにあって、非武装地帯の鉄条網越しにはるか北朝鮮の監視所があり、北朝鮮兵の動きも見える。

 韓国軍のパトロール部隊の案内で鉄条網沿いに塹壕を歩いた。案内の小隊長が、鉄条網に兵士を激励するリボンを結び付けたいのでリボンに何か書いてくれという。「自由統一!日米韓団結!」と書いて結び付けた。

 小隊長としばし立ち話になった際、気になっていたことを聞いてみた。「前線の部隊兵舎で若い兵士たちが男性化粧品に夢中と聞いたが本当か?」と。小隊長は「兵舎(内務班という)のロッカー(私物棚)は化粧品で一杯ですよ」と苦笑いしていた。

 2010年、ソウル北西の海の境界線付近で夜、韓国哨戒艦「天安」が北朝鮮の魚雷で撃沈された時、乗組員が携帯電話で外部世界と通話していたことが分かった。艦長も携帯で事態を上層部に連絡していた。

 軍当局の記者会見の際、質問してみた。「韓国海軍は作戦行動中に乗組員の自由な携帯電話使用を認めているのか? そもそも携帯電話の艦内持ち込みは自由なのか?」と。その答えは「幹部以外は認められていないが、艦内生活は不自由で不満が多いので……」という答えだった。つまり黙認しているというわけだ。

 これには驚いた。最前線での作戦勤務中に陸の家族と私的会話が可能とは。これでは簡単な盗聴システムで艦の動きが北に筒抜けではないか。

 昨年夏、軍で大問題になったのがスマートフォン事件。若い兵士たちが禁止されているのにスマホを部隊に持ち込み、訓練状況や兵器などの情報をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で外部世界に流していた。スパイではない。退屈しのぎで面白半分にやっていたのだ。

 ある部隊では兵士の3分の1が秘かにスマホを楽しんでいたという。IT王国の韓国は今やスマホ中毒社会だ。若い兵士はスマホ無しには軍隊生活もできないのだ。

※SAPIO2013年4月号

関連キーワード

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン