ライフ

やむなく親が子供に体罰を施すときの「正しい体罰のルール」

 体罰は極力避けるべきだが、幼稚園児や小学生の子供をしつける時、やむなく親が体罰を施すことはある。その時、正しい体罰のルールとは何か? 精神科医の和田秀樹氏が解説する。

 * * *
 私は親が子に施す体罰を全否定しない。状況に応じて体罰の必要性と有効性を認める立場に立つ。ただし、そこには親が守るべき鉄則がある。

 まず、大前提として、字義通り体罰とは「罰」であることを忘れてはならない。とすれば、体罰を施すのは、子供が他人のモノを盗む、壊す、他人を肉体的、精神的に傷つける、その他何らかの迷惑行為をするといった「罪」を犯した時、社会的なルールを破った時に限定すべきだ。

 ところが、子供が親の期待通りの成績を挙げない、習い事が上達しないといった時にも子供を叩く親が多い。これはやってはいけない体罰だ。

 かつて私の子供が小学校の「お受験」の準備をしていた時、同じお受験組の間では、箸の使い方を身につけさせるため、家庭で小さな豆を箸で摘む練習をさせることが多かった。妻によれば、子供がいくらやってもコツを覚えないと、苛立って子供を叩いてしまう親がたくさんいたそうだ。

 そのように体罰を受ける子供は「お受験」に失敗することが多かった。努力しているのに結果が出ないからといって体罰を受けると、子供は傷つき、自信をなくし、萎縮し、本来伸びる能力も伸びなくなってしまう。努力を怠っていることは叱るべきだが、結果が出ないことを叱ってはならない。まして体罰は厳禁だ。

 ただ体罰を施しただけだと、子供は、「自分は親に嫌われているのではないか」「自分は駄目な人間なのではないか」と、自分に対して否定的になったり、自己評価が低くなったりしかねない。それを避けるためには、体罰を施した後、体罰の理由(罪に対する罰であること)や親の思い(子供を正しく育てたいという愛情からであること)を説明し、励ます必要がある。
 
 また、ふだんから子供が良い行ないをした時には褒めておく。これをやっておくと、子供には「自分は親に愛されている」という安心感、信頼が生まれ、体罰を受けることによるマイナスの影響がない。

※SAPIO2013年4月号

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン