ビジネス

アベノミクス失敗でも成功でも金利上昇の可能性高いとFP分析

 アベノミクスではインフレ率2%を目標として掲げているが、物価が上昇すれば金利も上昇するのが普通だ。気がかりなのが住宅ローンである。ファイナンシャル・プランナーの平野雅章氏が今後の住宅ローンの行方をシミュレーションする。

 * * *
 住宅ローンには返済期間中の金利が固定される固定金利型と、半年ごとに金利が見直される変動金利型がある。また、これら2つの中間的なタイプとして固定金利選択型がある。3・5・10年などの一定期間は利率が変わらず、期間終了後は変動金利を選択するか、再度、一定期間の固定金利を選択する住宅ローンだ。
 
 固定金利型や10年超の固定金利選択型の金利は、10年物国債の利回りに代表される長期金利の影響を受ける。
 
 一方、変動金利型や固定期間の短い固定金利選択型の金利は、金融機関が優良企業に1年以内で貸し付ける金利である短期プライムレートのような短期金利に連動する。
 
 まず心配されるのは、いわゆる「悪い金利上昇」が起こることだ。
 
「機動的な財政政策」で国債発行の増加に歯止めがかからないと市場に見られれば、国債金利は上昇して固定金利型の金利も上昇する。一方、変動金利型の金利は、短期金利に連動し、直接、国債利回りの上昇と連動するわけではないが、国債の信認低下は円への信認低下でもあり、為替では今以上に円安が進むことになり、その影響を受ける。
 
 たとえば、日本は原油などのエネルギーや小麦などの食糧を輸入に頼っているが、円安になるとそれらの輸入価格は高くなり、物価上昇につながる。それが変動金利上昇の圧力となる。
 
 次に、アベノミクスが機能し、景気回復局面になった場合はどうなるか。たとえば企業による設備投資などで資金需要が増加することにより「良い金利上昇」が起こるだろう。景気回復局面になれば、賃金の上昇も期待できる点で「悪い金利上昇」とは家計への影響度が異なると言える。
 
 しかしながら、住宅ローン金利上昇による返済額の増加ほどには賃金が増えないケースがあり得る。いずれにしても、アベノミクスが失敗しても成功しても金利は上昇する可能性が高まっている。

※SAPIO2013年5月号

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン