国内

さかなクン 5つあるハコフグ帽子を新幹線や飛行機でも着用

家の中でもなるべく帽子かぶるさかなクン

 子どもの好奇心を受け止めて、どうやって育てていくのか。小学生のころからお魚街道まっしぐらで、子どもにも大人気の東京海洋大学准教授のさかなクンに、子どもの好奇心の育て方を聞いた。(取材・文=フリーライター神田憲行)

 * * *
 中学生でカブトガニの人工孵化に成功したのだから、さすがである。その後、さかなクンの魚類の知識は知る人ぞ知る存在になり、2001年、テレビ番組「どうぶつ奇想天外!」で「さかなクン」としてデビューする。ハコフグの帽子はそのときからで、そこにはこんな想い入れがあった。

さかなクン:視聴者様の皆様に覚えていただけるものを身にまとった方がいいとテレビ局の方からご指摘をいただきまして、さかなクンとしてはもしかぶるとしたら、小さいころに家族で旅行した福島県小名浜の魚屋さんで見たハコフグだろうと思いました。小さなハコフグが水槽の中でぱたぱたしながら泳いでいる姿を見てカワイイと思いつつ、中にいるタイやブリにどんと当たられるとちょっとフラッとなる姿を見て、「ああ一生懸命生きているんだなあ、あんな風に頑張って生きていきたいなあ」と思いまして、元気をくれたハコフグちゃんを頭に乗せたいと思ったんです。それでハコフグのギョ(5)面図を描いて、職人さんに作っていただきました。

さかなクン:これは5タイプありまして、学帽スタイルで白衣と合わせるタイプと、カジュアル用、水中用、冬用の暖かいぬいぐるみ生地で出来ているものなどがあります。極力、家の中でもつけています。さかなクンとして全体的なスタイルで覚えていて貰えるように、いつでも「さかなクンだよ」「ギョギョッ」と言えるように、新幹線でも飛行機でも常に身につけています。ハコフグが泳ぐような感覚で、一生現役でさかなクンでギョんばります!

 さかなクンはブログなどネットでも活動を広げ、公式フェイスブック(http://www.facebook.com/sakanakun.official)も立ち上げた。本人は「アナログな人間ですから」と笑いながらも、ネットを通じたファンとの交流を楽しんでいる。

さかなクン:ブログの掲示板で書き込みがあるのは嬉しいです。多くの方が共感をもってくださって、本当に嬉しく思います。フェイスブックでは携帯写真コーナーで写真の発信もしています。インターネットで多くの皆々様の好奇心に応えられるようなことが出来たらいいなと常に思っています!

さかなクン:勉強はもちろん大事なんですが、同時に、子どものころに夢中になったものも大事にしていただきたいです!! 親から見てつまらないと感じるかもしれませんが、それぞれのお子さんにとっては、かけがえのない、尊いものなんです。さかなクンの場合は理屈抜きに「お魚面白い!楽しい!もっとお魚に会いたい!」というお魚まっしぐらで続けさせていただいたので、今でも進行形でいられる自覚があります。これだけは自分はまっすぐ持ち続けようとか、これがあるから自分は元気でいられるんだとか、見てて癒されるからいいやとか、どんな理由であれ、自分にとって大事なものというのをしっかりと持ち続けることというのが、大人になっても頑張る気持ちになれたんですね。

 子どもの心を大人になっても失わないことに憧れつつも、実際はそうならないと私たちは体験的に知っている。しかしそれは本当に不可能なことだろうか。さかなクンの親や学校の先生のように、子どもの真っ直ぐなな好奇心を正面から受け止めてくれる大人がいれば、と思う。取材の帰り際、さかなクンが小学生のファンから受け取ったファンレターを見せてくれた。私に説明するその顔が本当に嬉しそうだった。もう私たちは子どもの心を取り戻せないが、せめて子どもの気持ちを抱きとめてやれる大人になろうではないか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン