ビジネス

金融資産を守るには株式か外債に変えるしか手はないと大前氏

 安倍晋三首相の「アベノミクス」だけでなく、日銀総裁に就任した黒田東彦氏による「黒田バズーカ」で経済は上向きになってきたと言われている。ところが、好転しているようにみえる今の状況は、見せかけだけだと大前研一氏は言う。

 * * *
 円高・株高基調が続いており、デパートなどでは高級品の売れ行きが伸びているという。これらは「黒田バズーカ」、黒田東彦・日銀総裁が実施した異次元金融緩和策の影響だという。だが、今の日本は非常に危険な状況なのである。

 実は、アメリカなど海外のヘッジファンドは、日本国債暴落を仕掛けるタイミングを虎視眈々と狙っている。以前から「日本売り」を公言しているヘイマン・キャピタル・マネジメントのカイル・バスをはじめ、ペレラ・ワインバーグ・パートナーズのダニエル・アーベス、グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーンといった面々である。

 たとえば、バスは円安局面を想定して、すでに約1000億円規模の儲けを稼ぎ出したとされる。今は国債利回りが跳ね上がった瞬間にスワップ取引などでサヤを抜こうとしているのだろう。もし、いったん国債価格が下がり始めたら、その瞬間に、今回の円安局面でやはり10億ドル(約980億円)近い利益を得たとされるジョージ・ソロスやゴールドマン・サックスなどの常連投機筋も合流し、一斉に日本国債の売り浴びせを始めるだろう。

 では、生活者はどうやって金融資産を守ればよいのか? ヘッジファンドの動きにかかわらず、長期的に暴落の危険性が高い国債は持っていてはいけない。銀行に預けておくのは国債を買っているのと同じだから、定期預金なども危険だ。

 しかし、REIT(不動産投資信託)は、この3か月で理屈もなく上がりすぎている。そうなると、前述したように、もう高くなってはいるが、株式や外債に変えるくらいしか手はないだろう。たとえば、小国で公的債務の少ないクオリティ国家かオーストラリアやカナダなど資源国が出している公債、値上がりしていない優良なグローバル企業の株式を買っておくのが賢明かもしれない。

※週刊ポスト2013年5月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン