ビジネス

女性のショートヘア流行は「景気回復を示すフラグ」と専門家

 急速な株価上昇を見せた反動からか、乱高下する市場が続いており、バブルを懸念する声も上がっているが、はたして今の株価はバブルなのか? 22年間株式市場で勝ち残ってきたカリスマファンドマネジャー、レオス・キャピタルワークス取締役の藤野英人氏が解説する。

 * * *
 最初に指摘しておくが、いまの株価水準はけっしてバブルではない。その理由は、昨年11月中旬から続いてきた株価上昇が企業業績の向上を伴っているからにほかならない。

 今回の株高に対して「期待先行で実体を伴っていない」などと懐疑的な見方をする人もいる。だが、円安に伴って輸出企業を中心に業績が急回復していることは疑いようがない。2014年3月期の営業利益予想を見ると、上場企業全体で約40%増が見込まれている。日経平均株価が40%超上昇したのは、何よりその伸び率を織り込んでいるからであり、実体経済の成長を伴っている限り、とてもバブルとはいえないだろう。

 急激な円安と株高をもたらしたアベノミクスは、当初「湿った薪にガソリンを撒いて火をつけた」ようなものだった。大胆な金融緩和をはじめとするガソリンが大量に撒かれても、「薪」という実体経済の回復はおぼつかないと思われた。ところが、ここにきて、ガソリンだけでなく、「薪」そのものに火がつき始めている。

 それは円安によって業績拡大期待が高まる輸出企業だけではない。スーパーなど内需系企業の経営者が「景気の回復は顕著」などと口を揃えるように、国内消費の回復が至るところで確認できるようになっているのだ。

 そんな話を聞かされても、おそらく「景気回復の実感はない」と口にする人は少なくないだろう。それもそのはず。いまはまだ、我慢の限界まで締めつけてきた「蛇口」がようやく少しだけ緩んだ状態にすぎない。

 だからインフレ期待が高まろうとも、依然としてユニクロ(ファーストリテイリング)やニトリ、100円ショップのセリアといったデフレ関連企業の業績も好調が続いている。

 確かに景気回復に向けた変化は劇的なものではない。たとえばこれまで外食といえばファミリーレストランばかりだった層が、高級レストランに足を向けるようになるような生活のスタイルまで大きく変わったわけではないだろう。

 しかし、これまで通っていた店に訪れる回数が増えるとか、少し単価の高いものに手を出すとか、ちょっとずつ財布の紐が緩んでいるような現象がそこかしこで見られるようになっているのだ。

 実際、景気回復を示す「フラグ(目印)」が目立つようになった。たとえば女性のショートヘアの流行。ネットの検索ワードでも「ショートヘア」「ショートカット」という単語が目立ち始め、SNS上でも「髪を短くしたい」という発言をよく目にする。ショートヘアは、頻繁に髪のメンテナンスが必要となり、美容院に行く回数の増加につながる。気持ちが前向きになると同時に、経済的な余裕が生まれつつあることが背景にあるのではないか。

※マネーポスト2013年夏号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン