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「水を怖がる」狂犬病 発症した場合の致死率はほぼ100%

 中国で発生し感染が拡大した新型鳥インフルエンザH7N9、中東で猛威を振るう新型コロナウイルス……。世界では新たな感染症が日々生まれ、人類を脅かし続けている。中には“古い”感染症が猛威を振るう可能性がある。

 すでに克服したはずの感染症が再び出現することもある。2006年には日本で狂犬病による2件の死亡例が約40年ぶりに出た。1970年以降、国内の症例はゼロだったが、2例とも渡航先のフィリピンで犬に噛まれ、帰国後に発症したものだ。ウイルスに侵されると、麻痺、精神錯乱など前駆症状が出る。その後脳神経が侵され、呼吸障害を引き起こす。発症した場合の致死率はほぼ100%。

「日本人医師で狂犬病患者を診た経験を持つ人は限られる。この2例は医師が“水を怖がる”という狂犬病特有の症状に注目したことで判明したが、もし気づかなければ処置や診断ができないこともあり得る。

 もっとも、症状が出ている時点で非常に危険な状態であり、海外で犬に噛まれたらすぐに処置する必要がある。中国やインドをはじめ狂犬病は世界中で発生しており、日本人が感染する可能性はいくらでもある」(長谷川氏)

 狂犬病同様、過去のものとは言えないのが結核だ。現在も国内に多くの結核患者がおり、年間2万~3万人の新たな患者が出ている。

「海外では従来の薬が効かない多剤耐性結核菌が出ている。今のところ日本では深刻な状況には至っていないが増加しつつあり、今後さらに増える可能性はある」と危惧するのは、川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長だ。

 多剤耐性結核菌は毎年数万人が罹患する欧州、中央アジアなどで致死率50%に達するというWHOの報告がある。

※SAPIO2013年7月号

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