ビジネス

「死に物狂いで働け」に違和感覚えたら会社辞める勇気持て

 インターネット上では、数年前から「ブラック企業」批判が喧しいが、いまや、それが、一般のメディアにも広がっている。なぜ大手紙やテレビがブラック企業叩きを過熱させるのか。新興企業の実態に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏が指摘する。

「勢いよく成長する新興企業は既得権益を持つ旧来型企業にとっては疎むべき存在です。そこに寄り添う老舗の大メディアが、新興企業批判キャンペーンを展開するという構図が見え隠れします」

 目下、安倍首相はIT系など新興企業を中心とする新経済連盟(代表理事・三木谷浩史楽天会長)と急接近し、彼らの意見を取り入れて規制改革を進めている。そうした動きに、旧来型の大企業が危機感を募らせ、一連のブラック企業批判を使って新興企業群に揺さぶりをかけていると見る向きもある。

 グローバル化した激しい企業間競争のなかでは、「福利厚生は厚く、給料も高く。だけど残業はしたくない」という社員を抱えていては、ベンチャーや中小企業だけではなく、大企業もほとんど生き残れない。労働者も、自らがそんな過酷な状況下に置かれていることを覚悟しなければならない。作家の佐藤愛子氏がいう。

「できる人は会社で死に物狂いで仕事をすればいい。それが合わない人は、毅然と“私の生き方に合わないので辞めます”といって退職すればいいんです。ドロップアウトするのはたしかに怖い。

 でも、私も企業の組織論と妥協するのは不可能と考えて、のたれ死にする覚悟で作家になりました。うつ病になったり、自殺してしまうのであれば、今の会社や仕事が自分に合わないと感じた時には、会社に一生面倒みてもらおうという気持ちは捨てて、あえてドロップアウトする勇気を持ってほしい」

 これまで日本が生み出せなかったのは、生き方の選択ができる個人であり、その選択を可能にする社会である。ただブラック企業ばかりを叩いていても、その先の社会の在り方は見えてはこない。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
選手会長としてリーグ優勝に導いた中野拓夢(時事通信フォト)
《3歳年上のインスタグラマー妻》阪神・中野拓夢の活躍支えた“姑直伝の芋煮”…日本シリーズに向けて深まる夫婦の絆
NEWSポストセブン
学校側は寮内で何が起こったか説明する様子は無かったという
《前寮長が生徒3人への傷害容疑で書類送検》「今日中に殺すからな」ゴルフの名門・沖学園に激震、被害生徒らがコメント「厳罰を受けてほしい」
パリで行われた記者会見(1996年、時事通信フォト)
《マイケル没後16年》「僕だけしか知らないマイケル・ジャクソン」あのキング・オブ・ポップと過ごした60分間を初告白!
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』でスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
《テレビ関係者が熱視線》『世界陸上』再登板で変わる織田裕二、バラエティで見せる“嘘がないリアクション” 『踊る』続編も控え、再注目の存在に 
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン
石橋貴明の現在(2025年8月)
《ホッソリ姿の現在》石橋貴明(63)が前向きにがん闘病…『細かすぎて』放送見送りのウラで周囲が感じた“復帰意欲”
NEWSポストセブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
「ずっと覚えているんだろうなって…」坂口健太郎と熱愛発覚の永野芽郁、かつて匂わせていた“ゼロ距離”ムーブ
NEWSポストセブン
新潟県小千谷市を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA) 
《初めての新潟でスマイル》愛子さま、新潟県中越地震の被災地を訪問 癒やしの笑顔で住民と交流、熱心に防災を学ぶお姿も 
女性セブン