日本一の「餃子の街」を競い合っているのが宇都宮市と浜松市だ。宇都宮餃子会の鈴木章弘事務局長がいう。
「浜松が2006年ごろ、突然“餃子の消費量日本一”と名乗りを挙げたときは驚きましたよ。私たちはあくまでも総務省の家計調査をもとにしているので、裏付けがある。しかし浜松市さんはいきなり独自調査で日本一だと主張してきたんです。
この件については昨年、浜松の餃子学会代表から謝罪文がきたので、和解はしましたけど。味はこちらのほうが美味しいし、餃子に対する思いは間違いなく強い。
宇都宮餃子の歴史は諸説ありますが、戦後に満州から引き揚げてきた兵隊さんたちが、中国で覚えた餃子を作って広まったという説があり、歴史が古いことは間違いない」
対する浜松市側も歴史と味への思い入れでは一歩も引かない。創業50年の老舗餃子店「むつぎく」店主の話。
「歴史としては、朝鮮からきた人たちが焼き餃子を販売していたのを、浜松にある餃子店『石松』の先代が昭和28年頃から屋台で売り始めたのが、最も古いのでは。
浜松はこれまで餃子を食べているという主張をしなかっただけで、私たちは注目される前から地道に餃子を作っていたんです」
2007年に浜松市が政令指定都市になり、2008年からは両市の餃子消費量が同じ総務省の調査で比較できるようになった。2008年~2010年は宇都宮市が日本一。しかし、2011年、ついに浜松市が宇都宮市の餃子消費量を逆転した。
宇都宮は「日本一奪還推進委員会」を立ち上げて日本一奪還を目指す。ニンニク臭がただようアツい戦いはまだまだ続く。
※週刊ポスト2013年8月30日号