国内

法人税減税で給料UPは嘘 全法人の75%が赤字で法人税払わず

 つい最近まで消費増税凍結を「するする詐欺」で国民を騙していた安倍晋三首相が、今度は手を替えてサラリーマンの給料で「上げる上げる詐欺」を働こうとしている。

 安倍首相は9月24日、国連総会出席のために訪れたニューヨークで、“法人税減税をやれば給料がアップする”と言い放った。

 法人税減税で給料が上がるというのは真っ赤なウソだ。実は、日本の全法人約260万社のうち、75%の約195万社は赤字で法人税を払っていない。それらの企業は減税が実施されても収益は変わらないから、減税で給料を上げることなどできない。仮に、残り25%の企業が減税分で賃上げをしたとしても、「国民全体の収入アップ」になる道理がないではないか。

 それは今年の春闘結果が証明している。安倍首相は財界に賃上げを要請し、ごく一部の企業が賃上げを決めたことで「アベノミクス効果で給料が上がった」と宣伝しまくったが、厚労省の毎月勤労統計調査によると、今年7月の全産業平均の月給は前年比で約1700円の減少。14か月連続のマイナスである。

 春闘では大手企業の夏のボーナスアップが報じられたが、実は、全産業平均で見るとボーナスを合わせた手取り収入も去年よりダウンした。安倍政権になってサラリーマンの給料は減っているのに、首相はそれを知りながら口をつぐんでいる。

 消費増税で国民から取り上げた税金で法人税を減税しても、国民の給料は上がらず、恩恵を受けるのは輸出大企業など一握りの儲かっている企業だけ。

 しかも、そうした輸出企業は消費増税によってさらに儲かるカラクリがある。「輸出戻し税」の制度だ。元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏が指摘する。

「海外に輸出した製品には消費税がかからないから、自動車メーカー、電機メーカーなど輸出産業は、輸出分の製品にかけられた消費税の還付を受ける。その金額は経団連加盟の上位10社で年間1兆円、国全体では3兆円にのぼる。税率が5%から8%に上がればざっと4兆8000億円になるはずです。

 小売業界や下請けの中小企業は消費増税で大きなダメージを受け、赤字企業が多いから減税の恩恵もない。それに対して、輸出大企業は消費増税で輸出戻し税の還付金が大幅に増える上に、法人税減税で2重の恩恵になる。こんな政治はおかしい」

※週刊ポスト2013年10月11日号

関連キーワード

トピックス

クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
“飛ばし屋あいちゃん”の異名も
《女子ゴルフ後藤あい》16歳ドラコン女王“驚異のぶっ飛び”の秘密は「軟らかいシャフトで飛ばす」 アマチュアゴルファーでも実践できるのか? 専門家が解説
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン