国内

スポーツ庁成功には役人排除を 文科省介入せぬ方が人材育つ

 東京オリンピック開催決定は実に晴れがましい出来事である。スポーツを国威発揚に利用するだけのどこかの国とは全く違う洗練された大会を期待したい。もちろん、日本選手の活躍を熱望する気持ちは国民全体が共有している。

 安倍政権はすでに「スポーツ庁」の設置方針を決めた。これまでオリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省の縄張りにされ、統括する窓口がなかったことが直接的な理由である。スポーツ推進機関を作ることに反対はしないが、一つ条件をつけたい。霞が関の役人たちを一切、入れないことである。

 文部科学省は、税金を食い荒らして国家の屋台骨をボロボロにしたシロアリ官僚の巣窟である。不要なハコモノや審議会などの組織、外郭団体に湯水のように税金を投じる一方で、国家の将来を担う若者の教育という本来の任務はおざなりで、半世紀前のカリキュラムを漫然と続けて時代遅れの人材ばかりにしてしまった。そして傘下のスポーツ団体を助成金と引き換えに天下り先にしてきた。そんな彼らに7年後のメダリストを育てる能力などあるはずがない。

 38個のメダルに沸いた2012年のロンドンオリンピックを見ると、競技別のメダル数は競泳の11個が最多で、以下、柔道7、レスリング6、体操3、ボクシング2、アーチェリー2、その他はバレーボール、サッカー、卓球、バドミントン、フェンシング、陸上、重量挙げが1個ずつ。このなかで文科省の貢献によって生まれたメダリストはほぼ皆無と言える。

 競泳、柔道、レスリング、体操などの「お家芸」は、いずれも民間のクラブや競技団体が選手育成の中心になっている。上記のうちボクシング以下の競技で学校教育のカリキュラムに入っているのはバレーボールくらいのものだ(サッカーは女子、陸上はハンマー投げのメダルで、いずれも学校ではやらない種目である)。そのバレーにしても、体格的不利がありながら世界レベルを維持できているのはプロリーグがあるからだ。

 冬季五輪を見ても状況は同じで、スキージャンプ、フィギュアスケート、スピードスケート、スノーボード、フリースタイルスキー、カーリングなどのメダル有望競技は、いずれも民間のクラブや団体で活動が盛んなものばかりである。

 プロ野球やJリーグから世界トップレベルの選手が数多く育っていることが象徴するように、日本では“学校以外で盛んな分野で天才が生まれる”という顕著な傾向がある。

 スポーツだけではない。クラシック音楽では日本は世界一のプロ奏者輩出国だが、ヴァイオリンもピアノも学校では教えない。今も世界一と称される旋盤、板金、左官などの工業技術、料理やデザイン、理容などの分野も文科省が介入しないおかげで豊かな人材が育っている。
 
 世界が称賛するマンガやアニメ、ティーンズ・ファッションなどの「クールジャパン」に至っては、文科省や学校が“けしからんもの”として長く遠ざけてきた分野だ。逆に、学校で学ぶべき語学、経営、金融論、国際政治、リーダーシップなどでは、なかなか天才が生まれない。

※SAPIO2013年11月号

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