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昨年より出来良いボジョレー 銘柄選びのポイントを識者解説

 初物好きな日本人にすっかり定着したイベント。11月の第3木曜日といえば、フランス産の新酒ワイン「ボジョレー・ヌーボー」の解禁日である。今年は景気回復ムードも相まって、皆で賑やかにワインを嗜む光景があちこちで見られそうだ。

 ワインの味わいはよく分からないという人でも、つい踊らされてしまうのが例年、出来栄えを評価したキャッチコピー。<100年に1度の出来><ここ数年で最高><昨年同様に良い>などと言われると、その実力を分かった気になって飲んでしまうのはご愛嬌か。

 さて、今年の仕上がりはどうか。昨年は葡萄の産地であるフランス・ボジョレー地区が夏場に雹(ひょう)が降るなど異常気象が続いて収穫量が激減。<史上最悪の不作>だった。

 今年も低温と日照不足で収穫時期が昨年より2週間遅れたが、夏場の好天続きが幸いし、小粒でも凝縮された味になっているという。ワインソムリエの資格を持ち、都内でワインバーを経営するフードコンサルタントの白根智彦氏がいう。

「現地からのレポートによると、フレッシュな果実味ときめ細かいタンニン(渋味)が程良く調和して、ポテンシャルは昨年より高いと聞いています」

 収穫量の減少と円安による輸送コストの増加などが影響し、輸入量は昨年よりマイナスの予想が出ているものの、近年はわざわざ酒屋やデパートに行かなくても、大量生産のPB(自主企画)ボジョレーまで登場。コンビニやスーパーでも気軽に購入できるようになった。

 ボジョレーの銘柄や特徴は各社さまざま。例えば、メルシャンのように有機栽培ブドウを使った『ボージョレ・ヌーヴォー オーガニック』をラインアップに加えて品質に特徴を持たせているメーカーもあれば、サントリーワインインターナショナルのように名醸造家がこだわりを持って造ったプレミアム品『ボジョレー・ヴィラージュ ヌーヴォー セレクション ブリュス2013』(参考価格750mlで3070円)など、ブランド力で勝負するメーカーもある。

 一方、小売りチェーンでは、ドン・キホーテが国内最安値の670円からの価格で販売したり、昨年ボジョレーの販売量で日本一に輝いたイオンがペットボトル入りのPBボジョレーを950円で売り出す予定など、価格競争も激しさを増すものと見られている。

 では、消費者はどんな銘柄でどの程度の価格帯のボジョレーを選べばいいのか。

「大量生産の大手ネゴシアン(卸売業者)のボジョレーより、手作業にこだわる小さな造り手の商品のほうが味わいがしっかりしている場合はよくあります。自然派生産者のボジョレーはヌーボーと思えないほど美味しかったりしますしね。

 ただ、時間に追われて短期間でつくらなくてはいけないボジョレーは、長期熟成型の年代物ワインと比べて、味はどうしてもライトにしかならないので、どの商品でもさほど差はありません。値段もどんなに高くても7000円ぐらいが限度。逆に安いからといって極端に質が悪いわけでもありませんし。

 だから、買う人は中身をじっくり味わうというよりも、自然の恵みに感謝しながら新酒を飲むお祝いの日――という気分で、自由に選んでいいと思います。最近はオシャレなアートをあしらったボトルもたくさんあるので、好きなラベルを選んで大勢で楽しんでもいいですね」(前出・白根氏)

 家飲み需要や低価格化で消費量が増加傾向にあるワイン市場。今年の“ボジョレー祭”はそこにプチ贅沢消費が加わり、新たなワインブームを巻き起こす可能性も秘めている。

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