スポーツ

JRA「騎乗依頼仲介者の馬券購入は禁止されるべき」と弁護士

 グランプリ・有馬記念を目前に控え、今年の競馬も終盤戦。2年連続の2着に終わったオルフェーブルの凱旋門賞、ジェンティルドンナのJC連覇など、今年も多くの印象深いレースがあった。一方で今年は、関係者やファンの間で「エージェント」の存在に注目が集まった年でもある。

 きっかけになったのは、春のG1戦線真っただの5月に出版された『騎手の一分』(講談社現代新書)という本。著者は、ダービージョッキーでもある藤田伸二(42)。JRA1800勝以上の勝ち鞍を持つ現役騎手が「競馬界の真実」とサブタイトルを掲げ、実名を交えた競馬界への批判を展開する内容に関心が集まり、すでに17万部を超えるベストセラーとなっている。

 そんな彼が一番の槍玉にあげているのがエージェント制度。エージェントとは、調教師の騎乗依頼を受けて騎手に仲介する仕事のことで、JRAでは2006年から正式に導入された。

 競馬記者が解説する。

「もとは契約した騎手の乗り馬を調整する役割だったエージェントですが、近年ではグループを組んだりして、全体への影響力が増しています。有力エージェントがついていないといい馬が回ってこない現状もあるようで、エージェントの力が強くなりすぎて騎手への適正分配が出来なくなっていると藤田は訴えています。制度を導入したJRAも批判していて、近年勝ち鞍が伸びない武豊の不振もこの制度が原因だとしているのです」 

 これを機に、一般的にはあまり知られていなかったエージェント制度の実態に興味が集まり、ネットを中心にさまざまな情報が飛び交うようになった。中には、誰が誰のエージェントであるかを馬券予想の参考にするという流れまで出て来ているという。

「というのも、エージェントの仕事をしている人物は競馬専門誌の記者が兼業しているケースがほとんど。騎手や調教師に極めて近い立場で騎乗仲介を行いつつ馬券の予想を行うということは、利益相反ではないか、と疑問に感じている人も多い。さらに、厩舎関係者ともみなされるような彼らが、馬券を買える存在ということにも邪推が働くようです」(前出・記者)

 騎手や調教師などの厩舎関係者が馬券を買えないというのは、ファンであれば周知の事実だろう。だが、エージェントにはこうした購入制限がないというのだ。JRA報道室によると「騎乗依頼仲介者(エージェント)は厩舎関係者ではないので、馬券の購入は可能です」とのこと。

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン