キャスティングも絶妙。北川景子をめぐって競う、草なぎ剛VS伊藤英明。まったく違うタイプの男性像を、それぞれのセリフまわしや視線の落とし方、ファッションから体格から横顔に到るまで対照的に描き出していく。北川景子VS平岩紙もしかり。シナリオライターとご令嬢という、180度異なる女性像をくっきりと浮き彫りに。

 妙なおちゃらけや笑いに逃げず、正面からキャラクターを造形し、役者もそれを演じ切ろうとしています。その結果、それぞれの人物の面白みや孤独が滲み出てきている。

 というようにこのドラマは、秀逸。褒めるネタを見つけることしかできないのですが……そう言えば一つだけ、残念な点が。

 守の部屋の中の、アレです。独身貴族の守の部屋は、贅沢なマンションのペントハウス。夜景が見える大きなガラス窓、革張りのソファにワインセラー。テーブルの上にはいつも、素材にこだわった高級な和洋食料理がズラリと並ぶ。

 それなのに。食事に使う陶器や漆器が、どう見ても安直すぎ。徹底的にものにこだわる社長が吟味したとはとても思えない、ぺらっとした質感。ありきたりのデザインや素材のものばかり。周りがとてもよく作り込まれているだけに、食器が気になって仕方ない。

 逆から言えば、そんな重箱の隅をつつくようなこと以外に文句が見あたらない、完成度の高いドラマ。つまり、今クールの中で、私としては大収穫のドラマと言いたいのです。

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