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森永卓郎氏が選んだ2014年の日本の政治経済を知る本3冊

 毎回、評者に1人1冊を選んでもらう書評コーナー。今回は年末年始に合わせ3冊の本をピックアップしてもらった。経済アナリストの森永卓郎氏がピックアップしたのは、以下の3冊だ。

(1)『そして日本経済が世界の希望になる』(P・クルーグマン/PHP新書)
(2)『「TPP参加」を即刻やめて「エネルギー安全保障」を強化せよ!』(三橋貴明/マガジンハウス)
(3)『消費税 政と官との「十年戦争」』(清水真人/新潮社)

 前年の大崩落から一転してV字回復を果たしたのが、2013年の日本経済だった。もちろん、回復の最大の要因はアベノミクスの金融緩和・財政出動だ。クルーグマンは、10年以上前からアベノミクスと同じ政策を主張していたから、手放しの褒めようだ。

(1)では、日本が世界経済の主役になるとまで予測している。ただし、大きな懸念を示しているのが4月からの消費税引き上げだ。三橋貴明氏もクルーグマンと同様の政策を掲げ、ネットを中心に支持を集めて、安倍総理の誕生に大きく貢献した。ただ、(2)のなかでTPP参加や消費税引き上げといった最近の政策を見直すよう総理に懇願している。

(3)は、消費税引き上げにいたる政界のドキュメントだ。経済的影響の議論なしに、政争のなかで引き上げが進んだことが、よく分かる。もちろん、その陰で糸を操っていたのは、財務省だ。結局、安倍総理は金融緩和を拒む日銀の攻略には成功したが、財務省には歯が立たなかったということなのだろう

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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