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翻訳家が「翻訳困難」と論評 日本語の言語の可能性に迫る本

 毎回、評者に1人1冊を選んでもらう書評コーナー。今回は年末年始に合わせ3冊の本をピックアップしてもらった。翻訳家の鴻巣友季子氏がピックアップしたのは、以下の3冊だ。

(1)『abさんご』(黒田夏子/文藝春秋)
(2)『さようなら、オレンジ』(岩城けい/筑摩書房)
(3)『遡行』(岡田利規/河出書房新社)

 グローバリゼーションの名のもとに英語が跋扈し、インターネットとGoogleの更なる浸透につれて言語の均質化が進んでいる。プレーンな、(英語に)翻訳しやすい文章が推奨される昨今、それに逆らうように書かれる日本語作品もある。翻訳が困難だからこそ強い存在意義を持ち、言語の壁を越える力を有する三冊。

(1)七十五歳で芥川賞受賞。固有名詞の一切ない異色私小説。漢字を極力使わず、ランダムにひらがな表記を採るが、構文はまるで外国語のよう。日本語の規範を引っ掻き踏みしだきながら、その可能性を拡大する。

(2)豪州で暮らし世界共通語の英語で細々と小説を書き続ける主婦が、尊厳の源として日本語を取り戻すまでを描く。

(3)著者初の演劇論。「散らかった」文法破格の日本語を書く岡田利規の演劇は欧州でも評価が高い。翻訳不可能に見える言葉と動きの織り成す舞台は、その実、翻訳の隘路を軽々と突破する普遍性をもつ。次の日本人ノーベル文学賞はこの人が良いんじゃないかな?

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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