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日テレ「明日、ママがいない」の炎上はやむなしと女性作家

 抗議をめぐって番組スポンサーの動向まで注目されるようになり、予断を許さない空気も出てきたドラマ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」(水曜日午後10時)。昨今、これほど賛否をめぐって議論を呼んでいるドラマは珍しいのではないでしょうか。

 慈恵病院(熊本市)は、「赤ちゃんポスト」に預けられた子を「ポスト」というあだ名で呼ぶなどといったドラマ設定に対し、人権侵害にあたると放送中止を申し入れました。この病院だけでなく、全国児童養護施設協議会も放送内容の修正を要請するなど、激しい批判が集まっています。

 一方で、児童養護施設出身者による「感謝してる」といった声も。社会全体で考える良い機会、フィクションだとわかっているから問題ない、芦田愛菜の演技力はすごい、といった絶賛も目立ちます。ネット上を見回すとたしかに賛否入り乱れています。

「こうした題材のドラマを作ってはいけないというわけではなくて、その描き方に物議を醸し出す問題があるのでは」と、多くの視聴者は気付いているようです。

 一言でいえば、「話題になることを意識した刺激的手法が、子どもを題材にしてどこまで許されるのか」という問題ではないでしょうか。

 たしかに子ども同士の陰湿ないじめは現実の中に存在する。児童施設に子どもを預けた親の中には、泣く泣く手放す選択をせざるをえなかったケースもあれば、生まれてしまった子を捨てたケースもあるでしょう。現実の事情は多様でさまざま。

 ただし、このドラマの脚本と演出は、「ポスト」といった直接的なあだ名で子ども同士を罵りあわせたり、施設の管理者が子どもたちを人間扱いせず「お前たちはペットと一緒だ」と言い、恫喝・体罰とともに「もらわれたいなら媚びろ」と指導するなど、いわば「残酷なことがすべて重なりあい凝縮して同時に起こる」、かけ算的ドラマ作りになっています。

 こうした脚本と演出の仕方は、注目されることを意図した刺激路線と言われても、仕方ないでしょう。

「インパクトばかり重視」「視聴率・話題狙い」「炎上商法」といった指摘がネット上に見られるのは、そうしたドラマ作りに対する「うさんくささ」を、嗅覚で多くの人が感じとったからではないでしょうか。

 とりわけ今回の登場人物は、自分の人生を選択できる大人ではなく、さまざまな事情で否応なく施設に預けられた子どもたち。そうした子どもを、敢えて過酷で刺激的な設定の中に置いて、極限状況に直面させているのだとしたら、このドラマ作りの目的は何なのか?

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