国内

メニュー表示厳密化でシャケ弁当が「ニジマス弁当」になる?

上は和牛のステーキ、下は脂肪注入肉

 食品偽装問題に端を発し、料理のメニュー表示問題が揺れている。消費者庁が発表した素案によると「シャケ弁当」は「ニジマス弁当」になる可能性もある。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が考える。

 * * *
 昨年、飲食店での表示偽装が話題になってから、メニュー表示のあり方が揺れている。きっかけは、消費者庁が発表したメニュー表示に関するガイドラインの素案だ。「サーモントラウト」=ニジマスが使われた場合、シャケ弁当の「シャケ」や寿司ネタを「サーモン」と表示するのは「問題あり」。脂肪を注入したような成形肉も「ビーフ(やわらか加工)」という表示も「問題あり」だとした。

 このガイドラインに対して、1月16日に日本フードサービス協会など飲食に関係する6団体が「メニュー表示に関する緊急情報交換会」を行った。27日には外食業者と消費者団体の意見交換会が行われ、外食業者側からは「メニュー名が定着しており、消費者が混乱する」などの意見が多く出され、消費者側の出席者は「消費者が何を食べているのかわからないのは問題。きちんとした名称を表示してもらいたい」と訴えたという。

 一見、両者の意見は相反しているかのような報道だが、実はそこまで乖離はしていない。対立構造に見えるのは、消費者から少しでも事実に反すると受け取られそうな名称は「問題あり」として、もっとも消費者庁が責任を回避できるガチガチの素案を作ったからだ。

 排除したいのは、虚偽表示だったはずだ。なのに、素案では「いかに、突っ込まれないものを作るか」と「虚偽」や「偽装」を越えた領域にまで網をかけてしまった。

 大辞林で「さけ」をひいてみる。「サケ目サケ科の海魚の総称。一般に,サケ(シロザケ)・ギンザケ・ベニザケ・サクラマス・カラフトマス・マスノスケなどをいう。」とある。ニジマスも含め、サケ目サケ科タイヘイヨウサケ属の魚であり、今回の素案でニジマスが「さけ」「シャケ」から除外される理由がわからない。

 消費者が求める「きちんとした名称」を盛り込むとしても、原材料のシール表示や、メニュー表の片隅に小さく書いておけば十分だろう。

 この話には「虚偽表示」と「食文化」の問題が混在している。実際に食品偽装が起きてしまった以上、対策を講じなければならないのは理解できるとしても、メニュー名ひとつひとつに、正確な原材料名を反映せよというのはあまりにヒステリックだ。

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン