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糖質制限ダイエット「日本人にも有効」論文発表で流行加速も

 数あるダイエット法のなかでも、効果が高いとされ、それだけに健康への影響を巡って賛否両論かまびすしいのが糖質制限ダイエットだろう。「炭水化物ダイエット」「満腹ダイエット」とも呼ばれている話題の痩身術だ。

 世界的なブームのきっかけは2008年に米国の医学誌に掲載されたイスラエルの研究グループの論文だった。それまでは糖尿病患者への食事療法としては、食事の摂取量全体を減らすカロリー制限食が主流だったが、同グループは患者への2年間の比較試験で、カロリーは制限せずに炭水化物や果物など糖質の摂取量だけを制限した食事の減量効果が高く、中性脂肪などの改善も顕著だったという研究結果を発表した。

 これが、「腹一杯食べても痩せられる」と注目され、糖尿病ではない人にもダイエット効果があると広まった。

 日本では、糖尿病の専門医で『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』などの著書がある江部康二・高雄病院理事長が提唱して火がついたが、日本人を対象とした比較研究がなかったため、日本糖尿病学会の関係者からこのダイエット法の危険性を指摘する声が少なくなかった。

 だが、そこに新たな研究結果が報告された。北里大学北里研究所病院糖尿病センターの研究チームが日本人の糖尿病患者24人を対象に食事療法の比較研究を行ない、「日本人にも糖質制限食は有効だ」とした論文が今年1月、医学誌に掲載されたのだ。

 メタボ予防やメンタルケアの面から糖質制限食を治療に取り入れているひめのともみクリニックの姫野友美・院長が語る。

「これまでも糖質制限食が日本人患者の症状改善に有効という症例は数多くあったが、科学的な比較試験はなかった。今回、それが医学的に実証されたことは意義がある」

 食品メーカーも「低糖質食品」市場に注目し始めている。前出の北里大学・糖尿病センター長の山田悟氏は、昨年11月に「低糖質食」の普及を目指す社団法人「食・楽・健康協会」を設立。同協会には糖質制限ダイエット中の人からは商品が敬遠されそうな大手菓子メーカーの江崎グリコをはじめ、キリン、ローソンも支援企業として名を連ねている。それだけ、「糖質制限食」ブームの高まりに関心が強い証拠だろう。

※週刊ポスト2014年2月14日号

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