ちなみに都知事選に出馬するには供託金300万円(有効投票総数の10分の1を得られなければ没収)に加え、街頭で配るビラやポスターの印刷代が必要だ。これまで投じた3000万円以上の選挙費用を、彼はどうやって捻出してきたのか。
京都大学卒業後、伊藤忠商事に25年勤務したマックは、1997年にレアアースを中国から輸入する貿易会社を起業した。2009年には年商50億を誇るまでに成長させたという。
年収は約1億。赤坂にある自宅の他に、ロサンゼルス、ローザンヌにも別荘があると彼はうそぶく。ところが悠々自適の生活も、最近では翳りが見え始めたという。中国との関係悪化が影響し、会長を務める貿易会社の業績まで悪化。現在は3億円もの不良在庫を抱えた状態にある。
「300万円の出費も今のオレには痛い。だから去年、一度は“政治家引退”を発表した」
しかし、結局、戻ってきた。選挙戦はマックにとって人生の一大ステージなのだろう。街頭演説で嘲笑を浴びることも、快感なのだ。
それを痛感したのは、選挙戦最後の日曜日に、マックが細川護熙陣営の演説に乱入した時だった。
「殿中でござる! 殿中でござる!」
拡声器でそう叫びながら、SPに制止されているマックは、恍惚の表情を浮かべ、権力に立ち向かおうとする自分に酔いしれていた。
※週刊ポスト2014年2月21日号