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薬は体に必要な動き阻害することもあると薬剤師が警鐘鳴らす

「薬を飲めば病気は治って健康になる」──人はみなそう思うからこそ、体の不調を感じたときに病院に行き、薬を処方され、医師の指示通りに服用する。しかし、そんな常識に、『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版刊)の著者で薬剤師、そして栄養学博士でもある宇多川久美子氏が一石を投じた。

「薬剤師は薬を飲まない」という衝撃的な“告白”の理由とは。

 体調を整えるはずの薬は、体にとって必要な動きを阻害してしまうこともある。

「食べ物を消化したり、アルコールを分解したり、血液や皮膚を作ったりするために必要なのが酵素です。その酵素には、もともと体内にある“体内酵素”と外部から取り入れる“食物酵素”があります。薬という異物を解毒するために、私たちの体は大量の酵素を必要とするのです。薬を消化するために大量の酵素を使ってしまうと、本来、食べ物の消化や代謝のために使うはずの酵素が不足してしまうことになります」(宇多川氏)

「酵素不足で代謝が悪くなると、体温が下がり、免疫力が低下してしまう。免疫機能は、体内に入った細菌やウイルスなどから体を守る働きがあります。この機能が弱まったり、働かなくなることによって、病気にかかりやすくなるのです」(宇多川氏)

 病気になったときこそ免疫力に活躍してほしいところだが、薬を飲むことで結果的に機能を低下させてしまいかねないのである。

「頭痛持ちで毎日頭痛薬を1錠飲んでいたが、症状が悪化したのか、1錠では足りなくなり2錠飲むようになった」(40代女性)

 こういった認識も、薬の誤解のひとつだ。

「症状が悪化するから薬が足りなくなるのではなく、体の中で薬に対する耐性ができてしまって効かなくなってしまうのです。そうすると、薬の量を増やさなければ症状が良くならないので、どんどん量は増えていきます。そのぶん、体には負担がかかります。頭痛は良くなるかもしれませんが、副作用が表面化するリスクは高まる上に、前述の通り、奪われる酵素の量も増えてしまうのです」(宇多川氏)

 日頃から薬を多用しない人も、急に風邪をひいてしまって、仕事を休めない場合には風邪薬に手を伸ばすことはあるだろう。

「熱が出ても、どうしても外せない会議などがあれば休むわけにはいかない。とりあえず薬を飲んで1日をやり過ごす」(50代男性)

 だが、これは症状を一時的に押さえ込むだけに過ぎず、かえって症状を悪化させることもあるという。

「熱が上がるのはリンパ球の活動を活発にし、自然治癒力を高めるため。しかし、解熱剤を飲んでしまうことによって、自然治癒力が発揮できにくい状況になってしまう。また、一時的に症状が緩和して無理をすることで症状が重くなったり、回復が遅れたりすることがあります」(宇多川氏)

※週刊ポスト2014年2月21日号

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