「毎日はないけど猪鍋を作るときもある。これはうまいよ」との大将の言葉に、思わず今日は?と、調理場を覗いてしまった。
おでんと手羽先を肴に、「こりゃ、じょうもんさんやね(いきがよくていい)。うまか」と50代のおとうさんが飲み干したのが、焼酎ハイボールだった。
「甘くない。これは男にはいい味だよ。缶のままでこのうまさでしょ。もっと粋な飲み方も考えてみたくなるね。それほどの酒ですよ」
カウンターに並ぶ男たちを大将が冷やかしたり声をかけたりして回ると、みんな大喜び。
「よか人間ばっかりよ。これから若い連中にもどんどん来て欲しいね。さあて、ちょっと飲んじゃったなあ。閉めるのがだいたい9時なんだが、こうなるとちゃっちゃくちゃら(むちゃくちゃ)です。ちょっと遅くなるね」
時計の針は8時を過ぎたあたりにいる。熱い男たちの角打ちの宴は、まだまだ続く。