「男気があるのはぼくらじゃなく大将の方。みんなそこに惚れてんですよ。その証明が、(博多祇園)山笠の台上がり(山車に乗ること)をした人だってこと。それって、誰もが認めるひとにぎりの人間にしか許されないんですから。心から尊敬してます」(68歳、医薬品販売)
そう。山笠は福岡の男たちの血をたぎらせる熱い祭り。そのあたりの話もぜひ聞きたいと大将にお願いすると、
「私は船乗りなので口下手。よかモノ言わん」とさらりとかわされた。男は自慢話などはしないということなのです。
店は、右半分が酒の品揃えが自慢の酒屋部門。カウンターのある左半分で角打ちという区分けになっているが、その真ん中を仕切る調理場で、酒のうまさを一段と盛り上げる丸允自慢のつまみが作られる。
「腕が悪いけん、いい材料使わんと」と渡辺さんらしい謙遜ぶりだが、夫人のアシストのおかげもあって、食材も腕も常連客に言わせれば、福岡一。角打ちに欠かせないおでんの角鍋には、こいつはでかいと評判の牛すじ、がんもどきにギョーザ天など10数種が食べごろの湯気をたてている。
面倒くさいから、どれも1個120円にしているんだとか。その他にも、煮魚、刺身、焼き鳥、手羽先など、ファンに支持されるメニューが並ぶ。