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消費税8%へ それでも値下げしたド根性企業の商魂と勝算

 消費税を8%に上げても景気は落ち込まない──消費増税を推進してきた政治家や官僚、学者たちはこう唱えてきたが、いくら彼らが理屈をこねようとも、消費者は正直だ。読売新聞の世論調査(2月16日付)では、「4月以降に家計支出を減らす」と答えた人は54%に上った。
 
 そうした消費者のマインドに敏感に反応したのが、ファストフード大手のすき家(ゼンショーHD)。4月以降、主力商品の牛丼(並盛)を280円から270円に10円値下げすると発表した。同社広報室はこう説明する。
 
「増税による可処分所得減少の影響を最も被るのは外食産業といわれます。また、当社は牛丼を“国民食”と位置づけており、その観点からもお値打ち価格で提供することが大前提。召し上がる方が減ってしまっては、国民食とはいえませんから」
 
 もちろん「赤字覚悟」というわけではない。「入客数を現在より増やすことで、売り上げも利益も確保できると考えています」(同前)と自信を見せる。
 
 同じく「国民食」となったカップラーメン。日清食品は、増税による値上げ幅が大きい高価格帯商品の「ラ王」シリーズをリニューアルし、4月7日から約16%値下げする(税別237円→198円)。
 
「スープを含めた全体の容量を8%減らしましたが、麺やチャーシューの量はそのままです。当社の他のカップ麺の具材を一部共通化させることで、質を落とさずにコストダウンを図りました」(日清食品HD広報部)
 
 外食と並んで消費増税の影響を受ける業界といわれるレジャー産業でも、値下げ企業が現われた。4月からサンリオピューロランド(東京・多摩市)は、現在4400円のパスポート入場券(大人)を休日3800円、平日3300円に見直した。子供料金は4000円から2700円(休日)、2500円(平日)と、実に最大37.5%の値下げだ。東京ディズニーリゾートやUSJ、キッザニアなどが増税に伴って入場料の値上げに踏み切る中、「あえて値下げ」した理由は何か。
 
「増税によってレジャーにかけるお金が減っていく懸念がある中、より多くのお客様に来ていただく目的で価格改定に踏み切りました。特に狙いは値下げ幅を大きくした平日の集客です。ママ友と子供さんのグループや学生さん同士など、新たな来場者層を広げたいと考えています」(営業第2課)

※週刊ポスト2014年3月21日号

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