また、来賓として入学式に出席していた江野幸一県議もブログで非難コメントを出したが、「時代錯誤」などと批判され、中には「死ね」という脅迫まがいの言葉まであった。
批判意見の中には、「子供の入学式にも参加できない公務員は“ブラック企業”ではないか」というものもあった。だが公務員は「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法15条)と規定されるように、他の職業よりも高い倫理観が求められている。
尾木氏もこう指摘する。
「公務員として教師の職業倫理は警察官などと同様、高くあるべきです。東日本大震災で、防災無線で最後まで避難を呼びかけ続けて、津波で亡くなられた町職員や、避難誘導で犠牲になった警察官の方がおられましたが、教師とて同じことです。そんなとき、自分の子が心配だからと帰るわけにはいかないんです」
世間とのズレを「ここまで感じたことがなかった」と困惑する尾木氏が続ける。
「最近は大学の入学式に親がついていくことも増えましたが、背景には子離れできない親の現状があります。この担任だって、子供も高校生ですから、教師という仕事の重さをいって聞かせればわかる年齢のはずなんです。でも、そういうと“親が息子の入学式に行くのは当たり前”の一点張りで批判されちゃう。僕が古くなっちゃったのかなァ……」
※週刊ポスト2014年5月2日号