しかし、どこにでもいるのが、盛り上がりに水を差すヤツ。「大リーグボール1号なんて投げたら、たちまち危険球と判断されて退場だよ」なんてことを言い出して、たちまち夢がしぼんで酒が苦くなるのも、それはそれで大人の味わいかもしれません。
考えてみたら、そもそも「大リーグボール」は、星一徹が「(雲の上の存在である)アメリカの大リーグでも通用するボール」といった意味合いで名付けたもの。今はその大リーグで、田中将大やダルビッシュ有や上原浩治など、多くの日本人投手が大リーグのバッターをキリキリ舞いさせています。つまり、彼らの投げているボールこそが「大リーグボール」に他なりません。
テレビの大リーグ中継を見ながら、たとえば田中が得意のスプリットで三振を取ったら「おお、大リーグボール7号だ(数字は適当)」と呟きましょう。子どものころに星飛雄馬の大リーグボールにワクワクした気持ちがよみがえってくるに違いありません。例によって同世代と酒を飲みながら「野茂のフォークが大リーグボール4号だとすると、ダルビッシュのスライダーは何号かな」と、どうでもいい上にとくに結論は出ない議論を戦わせるのも、また楽しです。ああ、野球って、大人って、いいもんですね。