ライフ

時任三郎の妻でもあるスピリチュアリストが初めて書いた書籍

【書評】『いいことしか起きない30のルール』時任千佳/マガジンハウス/1404円

【評者】伊藤和弘(フリーライター)

 著者は元女優で、俳優・時任三郎の妻。結婚と前後して自らの“能力”に目覚め、スピリチュアリストとして多くの有名人のカウンセリングを行ってきた。女優引退後、あまりメディアに露出しようとしない彼女にとって、本書は初めての単行本になる。

 人生、いいことばかりは起きないもの。むしろ、つらいことのほうが多いかもしれない。夢や希望は簡単にはかなわないし、努力が必ず報われるとも限らない。いたって真面目に暮らしているのに、病気や事故など災厄に見舞われることもある。そんな理不尽な世界で、どうすれば幸せに生きることができるのか? 著者は一人一人に語りかけるように、そのための“ルール”を並べていく。

 とりわけ強い印象を残すのは、「嫌いな相手の幸せを祈る」というものだろう。どうしても気が合わない人、できれば会いたくない人は、誰にだっている。仏教では「嫌いな人に会わなければいけない」ことを「怨憎会苦」と呼び、人間が抱える「八苦」のひとつに数えているくらいだ。嫌いな人には不幸になってほしいと思いこそすれ、逆に幸せを祈るなんて、なかなかできることではない。

 しかし著者は〈まずは形だけでいいので、その相手の幸せを願ってみてください〉といい、「憎しみを消す考え方」を説く。それはスピリチュアルな発想には違いないが、客観的に見ても説得力がある。こちらの敵意が伝わるから相手もかたくなになるわけで、〈自分の意識を変えることで結果的に相手が変わります〉ということも実際に起こり得るだろう。アドバイスを実践することで嫌いな人が減れば、今より幸せになれることは間違いない。

 他にも、胸を打ち、目からウロコが落ちる言葉はいくつも見つかる。

〈反省しないこと。まず、ありのままの自分を認めてあげてください〉

〈恋愛における失敗の多くは、パートナーを支配しようとすることから始まります〉

〈自分のために生きてください。それが結果として、人のためになります〉

 幸せとは、あくまで主観的なもの。年収や家族構成など、客観的な条件で決まるものではない。要は考え方だ。

“いいことしか起きない”ように生きるための知恵が、本書には詰まっている。

※女性セブン2014年5月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン