ライフ

飼い主が犬の捻挫を疑うときは「ほぼ捻挫ではない」と獣医師

 ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど大型犬に多い「股関節形成不全」や「前十字靱帯断裂」。痛みで歩けなくなると、犬はどんどん弱まり、ほかの病気を発症することもある。

 最近の獣医師の中には、歩行困難の犬が「歩けるようになる」だけでなく「華麗に走れるようになる」ことを目指して治療を行なっている医師もいる。整形外科を専門とする獣医師たちが、自らを除いて「整形外科分野で優秀と思われる」獣医師を選んだ結果、「犬の名医」たちの名が浮かび上がってきた。そうした医師が紹介されている『犬の名医さん100人データブック』(小学館)というムックも刊行されている。

「飼い主さんが『犬の歩き方がおかしいけれど、捻挫かな』と思った時は、ほぼ捻挫ではありません。悪い状態を放置しておくと、最後は人工関節手術しかないという事態になることも」

 こう警鐘を鳴らすのは、同書にも登場する神奈川県鎌倉市の『小川犬猫病院』の小川純也院長だ。小川氏はこう続ける。

「早い段階で発見した方が、治療の選択肢も多い。私は整形外科医として『犬が歩けるようになればいい』ではなく『犬が華麗に走れるようになればいい』と考え、治療に取り組んでいます。そのために、ほぼ毎年海外に赴き、最新情報を収集するとともに訓練を受け、世界の最前線で行なわれているハイレベルな治療法を持ち帰るようにしています」

 大阪府門真市の『ファーブル動物医療センター』の山口力整形外科院長は、犬の負担軽減を強く意識している。

「関節の疾患はレントゲンだけでは確定診断が難しいのですが、関節に入れる内視鏡の一種である関節鏡を使えば、確定診断ができ、さらにそのまま治療に移行できます。関節鏡による治療は、皮膚を大きく切るのではなく、小さな穴を開けての治療ですので、犬の肉体的な負担を減らことができます。少しでも痛みや合併症を減らし、機能障害を最小限にとどめることが大事だと思います」

 同様に関節鏡を使った負担の少ない治療を実践している『やまぐちペットクリニック東京動物整形外科病院』の山口伸也院長は、治療に加えて、感染症対策にも力を入れている。

「整形外科、神経外科は感染との闘いです。骨が感染を起こすと、血液が供給されないため、なかなか治りません。特に人工関節の手術では絶対的に無菌の状態が必要で、当院ではクリーンルーム用エアコンおよび陽圧換気システムを導入しています。これは手術室内の気圧を高くしておくことにより、室内から室外への空気の流れをつくり、外気が手術室に入ってこないようにするものです」

 同病院では、こうした感染防止のために国際的な研究団体で衛生についても学んでいるという。

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン