そもそも、ソニー全体の営業利益は2013年度で265億円しかない。ここにゲーム事業の200億円を足しても500億円にさえ届かない。そう考えれば、平井氏が意気込む4000億円の利益目標が今のソニーにとっていかに高望みであるかが分かるはず。
平井氏はゲームをはじめ注力事業への重点施策を行う一方で、3000億円以上をかけてさらなる構造改革、つまりリストラに励んでコストカットを目指すという。だが、安田氏は「ますます縮小均衡するばかりだ」と厳しい見方をする。
「ゲームやスマホが伸びているといっても、10年後のソニーを見据えた新しいコンセプトやビジョンは何もない。これまでも固定費を減らすために度重なる人員削減を行ってきたが、エレキ事業の“止血”はできなかった。
結局、固定費を減らす目的でいくら人件費を削っても、画期的な新製品が出てこなければ売り上げが落ち、人員がさらに余って縮小均衡になる悪循環に陥るだけ」
いまのところ、藁にもすがる思いでゲーム事業の成長力に期待するソニーだが、茨の道はしばらく続きそうだ。