国内

電車内泣き声論争やベビーカー論争 子育て支援NPO代表見解

 安倍政権は成長戦略として「女性が輝く日本」を掲げ、待機児童解消や育休明けの職場復帰支援などに取り組むとしている。イクメン(育児に積極的な父親)が社会的に認知されつつある現在、仕事と育児の両立は女性だけの課題ではなく国民全体で考えるべき問題となっている。

 10年前、保育所で見てもらえない病気の子供を預かる「病児保育」サービスを立ち上げ保育事業に参入、子育て支援を続けているNPO「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹氏は「日本人は働き方を変えるべき」と提言する。

──夜間や病児保育どころか、保育園自体の数が足りず、全国で待機児童が問題になっている。

駒崎:保育全体に対しての国家予算が圧倒的に不足しているのです。日本では子供や子育てに対する公的支出が異常に少なく、高齢者向けと子供向けが11対1という比で、こんなアンバランスな先進国は他にない。

 私がフローレンスを立ち上げたのは、ベビーシッターをしていた母から聞いた話がきっかけでした。あるお母さんが、熱を出した子供の看病のために会社を早退・欠勤していたらクビになったというのです。子供はよく熱を出すものだし、親が看病するのも当たり前のこと。にもかかわらず、それが理由で職を失ったと聞いて愕然とした。

 これのどこが先進国なのかと憤りを感じ、子供が熱を出したときに保育園が預かれないなら、預かる仕組みを自分がつくろうそう思い、病児保育サービスを立ち上げました。

──当時20代で独身の若者が、仕事を持つ母親の置かれた状況にそこまで義憤を感じ、行動したのはなぜか。

駒崎:おそらく、私の母が働く母親だったからでしょう。母はベビーシッターの前は自営業で、競馬新聞を街のたばこ屋など小売店に届ける仕事を何十年もしていました。仕事が終わると配達用のカブで保育園に迎えに来て、私は空になった後ろの荷台に乗せられて家に帰った。文字通り、母の背中を見て育ったのです。

 私にとって「働く母親」は尊敬すべき存在。それがある種、貶められているというか、「働く自分が申し訳ない」と思わせてしまうような社会の扱い方が許し難かった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン