会社は永遠ではない。それは多くの人が実感しているはずだ。リストラされた場合はもちろん、転職するときだって「あなたは何ができますか」と問われて「部長ができます」では話にならない。
長い人生を楽しく生きるには、世間で通用する何かを身につけておくべきだ。そのために給料が成果次第なのは悪い話ではない。自分のモチベーション向上とトレーニングに役立つからだ。
部長ならダラダラ新聞を読んでいても給料をもらえるが、世間でプロフェッショナルとして生きていこうとすれば、そうはいかない。自分の価値を示す必要がある。
そのためには成果主義のほうが適している。時間はだれでも共通・平等だが、成果は個人に属しやすいからだ。つまり「これは私の仕事です」とアピールできるのだ。
こういう考え方は転職市場では、とっくに当たり前だ。「何をしてきましたか」と問われて「私はこれをやりました」と胸を張って言えるかどうかが勝負である。
そんな考え方や心構えを普段から鍛えるためには、時間主義よりも成果主義のほうがいい。与えられた給料に納得できなければ、実績を武器に転職だって選択肢になる。50代だって遅くはない。いまからが勝負である。
(文中敬称略)
文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。
※週刊ポスト2014年6月20日号