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日本の労働時間は減少傾向 2011年は米や伊より短かかった

 残業代ゼロ案とも呼ばれる労働時間制度の見直しが進んでいる。安倍晋三政権は6月に策定する成長戦略に新たな改革案を盛り込む方針だ。この問題をどう考えるか。

 多くのサラリーマンにとって残業代は給料の一部になっている。だから「これがゼロとはとんでもない」と受け止められやすい。だが、そういう理解は正確ではない。

 いま議論されている問題の核心は、時間を基にした報酬ではなく「成果を基に報酬を払うようにしよう」という話なのだ。それで年収が下がるなら私も反対だが、成果を基にする考え方には賛成だ。

 労働界は「いまでもブラック企業が問題なのに、成果報酬にしたら過労死がもっと増える」と心配している。そこで、まず実態をみよう。

 一般のイメージとは裏腹に、実は日本の労働時間は減少傾向にある。1980年代には年間2100時間を超えていたが、2011年には1728時間に減った。これは米国やイタリアよりも短い。

 問題は長時間労働者の多さだろう。日本は男性の4割近くが週49時間以上働いているが、米国だと2割強、カナダは1割弱にとどまる。だから夫であり父親でもある男の立場からすると、給料も大事だが「働き過ぎをなんとかしてくれ」という声が上がる。

 そこで私も参加している規制改革会議は労働時間見直しに合わせて、労働時間の上限規制と休日休暇の強制取得をセットで導入する「三位一体改革」を提唱している。

 マスコミは残業代ばかりに目がいくが、肝心なのは労働時間の上限規制と休日休暇の強制取得にかかっているのだ。これもセットで取り込めないと、第1次安倍政権でホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)の試みが失敗したように、今回も反対派を勢いづけてしまう。

 さて、働き方は企業だけの問題ではない。サラリーマンの生き残りにとっても重要な問題である。会社の外に一歩踏み出してみれば、社会はすでにスキル重視、成果報酬の世界になっている。そこで生き延びようと思えば、会社にいる間に「どんなスキルを磨いていくか」がリストラにあったときや定年後の生き方に直結しているのだ。

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