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ペットボトル症候群 急性糖尿病で昏睡状態に陥ることもある

 もはや初夏という生やさしいものではない、暑い日が続いている。熱中症予防にこまめに水分を補給している人も多いと思うが、「ペットボトル症候群」にも気をつけてほしい。アスレティックトレーナーの西村典子さんが解説する。

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 「ペットボトル症候群」とは、1990年代に大量の清涼飲料水を水代わりに飲んでいた高校生が意識障害を起こして病院に搬送されるケースが報告され、以降、10代から30代の若い人にも似た症状が多く見られるようになり、彼らがペットボトル飲料を好んで多く飲んでいたことからこの名前が付けられたものです。

 彼らの意識障害の原因は、清涼飲料水を1日に2~3リットルも飲むことで糖分の過剰摂取により引き起こされる「急性糖尿病」です。急性糖尿病の症状としは他に、体がだるくなる、喉が渇きやすくなる、重篤なケースだと昏睡状態に陥ることもあります。

 気をつけなくてはいけないのは、急性糖尿病は清涼飲料水からだけとは限らないことです。市販で売られている飲料水には飲みやすさを考慮してかなりの糖質が含まれていることが多く、手軽に飲めることから知らず知らずのうちに過剰な糖分を摂取していることがあります。

 たとえばスポーツドリンクには約5~10%の糖質が含まれているといわれています。仮に5%のスポーツドリンク(500ml)を1日2本飲むと、25g×2本で50g。角砂糖(1個4g)に換算すると、実に12個分にもなります。人間が1日に摂取する糖分量の目安は20~40gといわれており、スポーツドリンクだけでこれを上回ってしまいます。さらに食事で糖分を補給してしまうので、このような生活習慣を続けていると糖尿病のリスクが高まります。

 また最近では健康志向から「カロリーオフ」や「カロリーゼロ」を表記した商品が増えていますが、こちらも注意が必要です。こうした商品の多くは糖質の量を少なくしたり、体内で吸収しにくくエネルギーになりにくい人工甘味料を使っていたりしますが、エネルギーがないということではありません。「カロリーオフ」は100ml当りのエネルギーが20kcal以下の場合に、「カロリーゼロ」は5kcal未満の場合に表示できるようになっています。またこうした人工甘味料を体内に過剰摂取することに対し、腎臓機能障害を始めとするさまざまな人体への影響が懸念されています。

 糖質の過剰摂取が習慣となってしまった人が高血糖の状態になると、喉の渇きを訴えます。そして喉の渇きをいやすためにまた糖分を含む清涼飲料水を飲んで、頻尿となり、また喉が渇くという悪循環に陥ってしまうところが、この症状のこわいところでもあります。「喉がよく乾く」「頻尿」「疲れがとれない」「肩こり」「急激な体重減少」「食べても満腹感がない」などの自覚症状がある人は、(急性)糖尿病の疑いがあるため、病院で診察を受けることをお勧めします。

 「ペットボトル症候群」の予防としては、「飲料の成分表をみながら糖分濃度をチェックする習慣をつける」「スポーツドリンクは2~3倍に薄める」「スナック菓子などのどの乾きやすい食べ物を多くとらないようにする」などです。スポーツドリンクを2~3倍程度に薄めることは、胃からの排出速度を高め、スムーズに腸から体内に水分・塩分が吸収されるという利点もあります。

■プロフィール 西村典子(にしむら・のりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー。高校生、大学生を中心にケガ予防、フィールドでの応急処置、競技復帰のサポート、競技力向上のためのトレーニング指導、コンディショニングに関する教育啓蒙活動等を行う。

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