不正受給の返還を促している(中小企業庁HPより)
公金の横領、詐欺は近年、もっとも社会が嫌う犯罪だろう。巨額の詐欺となれば、なおさらだ。新型コロナウイルス感染症の拡大によって大きな影響を受けた事業者に対して支給された「持続化給付金」をめぐる詐欺は、いまも少なくない人たちの生活に影を落とし続けている。ライターの宮添優氏が、今も続く持続化給付金不正受給をめぐる混乱についてレポートする。
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まだ多くの国民が覚えているであろう「持続化給付金」という言葉。すっかり過去のものになりつつある「コロナ禍」に悩まされたあの頃、仕事や生活に行き詰まった人々を国や自治体が支援する目的で給付されたものだ。だが、収入や身分を偽り、不正に給付金を得る不届き者が相次いだ。
あれから数年が経ったが、不正者の現状、そして原資が血税である給付金の返金状況はどうなのか? 取材をすると、どうしようもない「事実」が浮かび上がった。
「もともとは地元の建築会社で働いていました。コロナ禍で仕事が減ったりして、職場の先輩から”いい話がある”と言われて関わってしまったのが、不正受給に加担することだったんです」
神奈川県内に暮らす男性(20代)は、職場の先輩に唆され、会社員であったにもかかわらず、数年前から「個人事情主である」と虚偽の申請を出し、およそ100万円の給付金を不正に受給した。しかし、この金のうち、男性が受け取ったのは30万円程度。残金は件の先輩や、先輩の協力者らに分配されたのだという。
「俺がバカだったことは認めますが、みんなやっているといわれて、書類渡せば手続きもやってくれて、確かに金も入ってきた。コロナ禍の緊急事態だし、これが悪いことだとは本当に思っていなかったんです。緊急事態なのだからみんなしょうがなくやってるんだ、そう自分に言い聞かせていただけかもしれませんが」
男性は不正受給を認めるが、逮捕や起訴はされておらず、実は返金もしたと訴える。罪を償ったし、相応の罰も受けたと言えそうだが、それでも「不正受給」の呪縛から今なお逃れられないのはなぜなのか。
