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精神科医が提唱の「脳ダイエット」 秘訣は子供の本能のまま

精神科医・奥田弘美さん「脳ダイエット」 の秘訣語る

 ダイエット成功の秘訣は「脳」にあった! 『何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから』(扶桑社)の著者、精神科医の奥田弘美さん(46才)が100人以上のスリムな人にインタビューし、医師・精神科医としての見地から辿り着いたのが「脳ダイエット」。肥満に悩んだ自身も、さまざまなダイエットを繰り返した末に「脳の使い方」を正し、実践し始めた35才から約10年間、身長163cm、体重50kg、BMI約19の体型を自然にキープ。その方法について聞いた。

――「脳ダイエット」とはどういうものですか?

奥田:食べることに対する脳の使い方を意識して変えるダイエットです。スリム型は2種類あり、ひとつは胃腸が弱くて食べ物を吸収できない胃腸虚弱型と、スリムな体型を維持する脳の使い方で食べている健康スリム型です。その健康スリム型の人は、私たちが子供の頃にしていた本能に従った食べ方を大人になっても続けていることに気づいたんです。私自身もダイエットとリバウンドを繰り返していましたが、スリムな人の習慣を意識して始めてから約10年、体重は本当に一定で、変化してもプラスマイナス1kg程度です。

――脳ダイエットのコツは?

奥田:第一のポイントは、空腹感です。とにかくお腹がすかないと食べない。当たり前のことですが、できていない人はすごく多いです。子供から大人になる思春期に大脳皮質が発達すると、原始的な身体の欲求や気持ちを大人として理性で抑えられるようになりますが、食欲に関しては子供のように本能のままがいいのです。第二のポイントは、満腹ラインです。お腹が膨れるまで食べない。スリムな人は、ほどよく空腹感が収まるとやめています。

「偽の空腹感」をわかさないこともポイントです。偏った食事になるほど、健康な空腹感がやってこなくなります。太っている人が好むお米やパンといった炭水化物は、消化吸収がすごく早い上に、血糖値を上げてすぐに下げるので、食べてもすぐに小腹がすいている感覚に襲われます。例えば朝にパンと缶コーヒーで500~600カロリー食べているにもかかわらず、2、3時間後に小腹がすいた感覚になるのは、血糖値が急に下がっていくときに空腹になった感覚になるからです。バランスの悪い食事は、そういう変な空腹感を起こします。

――健康な空腹感が訪れるバランスのよい食事とは?

奥田:栄養群を色で区別します。ガソリンになる炭水化物や油脂類の「黄」グループ、筋肉や血液を作るタンパク質を含む肉、魚、卵などの「赤」グループ、体の働きを調整するビタミンやミネラルを含む野菜や果物、海藻類の「緑」グループです。黄色グループだけの偏った食事はNGで、お腹がすいているとき以外も禁止です。この3色を上手にミックスして食べることで、血糖値はゆるやかに上下します。タンパク質は、消化吸収に時間がかかるので腹持ちがよく、最初に野菜をたっぷり食べてカサ増しすることで満腹感も得やすくなる。このバランスのいい食事をお腹がすいたら食べ、腹八分目で食べ終わるようにすると、自然に本来の空腹感を取り戻せます。

――脳ダイエットで減量が成功できるわけは?

奥田:肥満につながる危険な食べ方のパターンがあります。美味しそうだから、珍しいから、上等な食べ物だから…で食べる「見た目食べ」、食べ物を残すのはもったいないという「道徳的思考食べ」、勧められたから、みんなが食べているからという「つきあい食べ」、口さみしい、イライラするからといって食べる「気晴らし食べ」です。これらをやめて、純粋にお腹がすいてから食べるようにするからだと思います。お腹がすいてないときに食べたものは、余分なガソリンとして燃焼しきれず全て脂肪になってしまいます。

――糖質ダイエットはどうでしょうか?

奥田:低糖質にすると確かに痩せますが、大事なのはゆるやかな抵糖質ダイエットにもっていくことで、極端な低糖質はよくありません。人間の体に必要な栄養素を極端に一個減らすと心身のストレスになりますし、リバウンドします。炭水化物は血糖値を上げるため気分もよくなるし、脳のエネルギーとなるブドウ糖を減らすと脳の渇望感が起きてしまいます。極端に食べないのではなく、活動する朝に摂って昼から減らし始めて、夜の食事で抜くか減らすと負担がなく低糖質で痩せていけます。

――空腹感は間隔が開きすぎるのもよくないとのことでしたね。

奥田:空腹を我慢すればするほど、食事に対する執着心をあおりドカ食いしてしまいます。ずっと飢餓状態になっている体に食べ物が一気に入ると、血糖値が急激に上がって膵臓に負担がかかるし、糖尿病にもなりやすくなります。人間が長年培ってきた食事内容から離れて、単品食べや炭水化物抜き、肉や魚を絶対に食べないなど極端な内容になればなるほどストレスになって、終わった後に多くの人がリバウンドします。極端に生体リズムや食習慣に無理をさせるダイエットは、たとえ成功しても必ず戻るということを忘れないでほしいですね。

【奥田弘美(おくだ・ひろみ)】
精神科医(精神保健指定医)、日本医師会認定産業医。山口大学医学部卒。少女時代に肥満のため「ブー」というあだ名を付けられ傷ついた経験から、ダイエット研究に熱中。スリムな人を独自に100人以上取材しつつ、医師として安全なダイエット法を吟味。精神科医としての視点を活かし、「脳の使い方」に着目した“脳ダイエット”を実践。以後、2児を出産後も10年間、BMI19のスリム体型をキープし続けている。現在は都内20か所の企業にて産業医としてヘルスケアに関わりながら、メンタルケアコーチングやダイエットコーチングを銀座スキンクリニックにて実施。

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