決勝トーナメントの試合について語る場合も、聞きかじったもっともらしい言葉を並べたくなる気持ちはわかりますが、あとで自己嫌悪を覚えたくなかったら我慢しましょう。「ブラジルが優勝したら、すごい盛り上がりだろうね」「予選で日本と同じグループだったよしみで、コロンビアとギリシャにはがんばってほしいね」といった素朴なコメントに止めておくのが、大人の奥ゆかしさにほかなりません。
また、決勝トーナメントの試合は、決勝以外はすべて夜中の1時か明け方の5時にキックオフです。にわかとはいえけっこうハマって、眠い目をこすりながら熱狂して見ていたとしても、翌日会社で「つい見ちゃったよ」と誇らしげに語るのはやや僭越。さも朝のワイドショーでダイジェストを目にしただけのような口調で、「やっぱり○○は強いねえ」「あのゴールはカッコよかったね」といった浅い会話をかわすのが大人の美学です。
さあ、そんな「にわかファン」なりの腰の引けたスタンスで、決勝トーナメントを大いに楽しみましょう。周囲を見わたして、同じにわかのくせにもっともらしく語っている人を見つけて、心の中で「ふふふ、言ってる言ってる」とせせら笑うのも、また一興です。