夏になると海へのレジャーに出かけたくなるもの。しかし、賑わう海を心から喜ぶことができない問題があるという。近隣住民たちを辟易させているのがゴミの後始末だ。
「わが家はビーチから駅に向かう道沿いにあるので、ゴミを家の前に置いていかれてしまうんです。ひとつゴミを置かれると、『ここならいいだろう』と思われて、朝起きたらゴミが山積みになっていることもしょっちゅう。においもするし、本当に勘弁してほしい」(逗子在住の50代女性)
「夜、ドサッという音がしたかと思うと、家の庭にゴミ袋が落ちている。海水浴帰りの客が塀越しにゴミを放り込んでいくんです。袋が破けて中身が飛び散っていることもあって、後片付けが大変です」(湘南海岸近くに住む50代男性)
海水浴場のゴミ捨て場はあふれかえり、客がいなくなった後の砂浜はゴミだらけ。ゴミを持ち帰るそぶりを見せても、結局は途中で置いていってしまうのだから、余計にタチが悪い。これではゴミにまみれた中国の海水浴場を嗤うことなどできはしまい。
こうした海水浴場や近隣での迷惑行為が増加し、逗子市には昨年100件以上の苦情が殺到した。これを受けて、逗子市は「音楽・飲酒禁止」など海水浴場の規制を行った。“やむを得ない措置”だったと捉える近隣住民がいる一方で異なる意見も出ているという。海の家の経営者たちが組織する逗子海岸営業協同組合・代表理事の原敦氏が言う。
「条例によって若者の数が極端に減りました。『音楽がなくて寂しい』という声も聞こえてきます。
ただ、以前から過度な飲酒など来場者のマナーやモラルについては気になっていた。酒をボトルで一気飲みしたり、酔っ払って騒いで帰るなど近隣住民のかたに迷惑をかけていたんだと感じています。私たちも自主的に浜辺の清掃をしたり住宅街のゴミ拾いをしたりしていましたが、深夜などは追いついていなかったんです」
規制については「厳しすぎる」「客が減って商売にならない」「海の家の営業時間が短すぎて楽しめない」という反対論も聞かれるが、地元住民からは「以前のような静かな海が戻った」「今年は久しぶりに子供を連れて海に行こうかな」という声が上がっている。
これほどまでに失われてしまった日本人のモラルとマナー。一部の無法者たちのために、まっとうな利用者までもがとばっちりを受けたのだとしたら、あまりに残念だ。
※女性セブン2014年8月28日号