国際情報

中国情報機関関係者 横田めぐみさん帰国できない事情を語る

 わずか13歳での失踪。その後、北朝鮮の関与が濃厚になる。そして、2002年小泉訪朝でもたらされた死亡情報……北朝鮮の非道への怒りは、横田滋(81)・早紀江(78)夫妻の切なる思いと相まって、負債の長女・めぐみさんを拉致問題の象徴へと押し立てた。

 このたびの拉致再調査でも、めぐみさんの消息が明らかにされなければ真の解決は望めない。北朝鮮が死亡を発表して以後のめぐみさん情報について、独自資料から辿った。

 時は1994年4月頃。北朝鮮が、めぐみさんは病に伏して入院し自殺した、と発表した時期と重なる。だが、それが嘘だったことは既に判明している。

 帰国した拉致被害者の地村保志・富貴恵夫妻は、日本当局に「1994年6月に自分たちの隣に引っ越してきた」と証言したからだ。「精神的に不安定な状態だった。北朝鮮の党対外情報調査部幹部が看病していた」という。数か月そこに暮らし、また姿を消した。
 
 一方、独自に入手した中国情報機関によるリポートでは、「1994年自殺」を否定した上で、〈政治的な理由から会寧22号管理所へ〉と記される。同管理所は同国最大の政治犯収容所だ。安否が憂慮されるが、中国情報機関はその後の動向については掴めていない。
 
 ただし、今年5月、橋本龍太郎内閣時代(1996~1998年)に官邸中枢にいた、ある政治家が親しい番記者を前に、こんな衝撃発言をしている。

「俺が首相官邸にいたとき、国内にCIAのエージェントがいたんだけど、そういうルートを通じて、めぐみさんが北朝鮮国内のどこかの二階に住んでいるという情報があった。その後、森(喜朗)総理が日本人妻の一時帰国事業で、めぐみさんを偽名にして他の日本人妻と一緒に帰国させる話までやっていたが、それから計画は途絶えた」

 これはオフレコ時の発言であり、政治的影響を図ったものではない。さらに。

「めぐみさんについては、中国の複数の情報機関筋で、生存が確認されています」

 そう話すのは前出のリポート入手先とは別の、中国情報機関関係者である。一時、対日関係改善に動き始めた胡錦濤政権が、外交カードの一つとして拉致問題解決への協力に動き出した。その際、めぐみさん生存情報を中国当局は入手した。だが、この関係者は、「何らかの事情」で、めぐみさんは帰国できないと言う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン