スポーツ

高校球児の肩と肘 企業広告導入や観客席値上げで守れないか

 夏の甲子園が大詰めを迎えている。今年は開幕が台風のため2日順延され、大会序盤は涼しかったこともあって、選手の体調問題があまりクローズされていない。しかし投手の肩と肘に負担がかかることは変わらない。2人の投手のケースから、この問題を考えたい。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
「肘が良ければもっとやれたんじゃないかと思う。(今日投げた)あの程度のボールなら簡単に打たれる。自分のピッチングができなかったのが悔しいです」

 そう言い残して甲子園を去ったのは、盛岡大付の松本裕樹投手だ。松本投手は大会前に「最速150キロ右腕」「プロ注目」と騒がれたが、甲子園ではそのスピードを披露することはできなかった。初戦の東海大相模は変化球を丁寧に低めに集める「打たせて取る」投球で退けたものの、次戦の敦賀気比には3回途中までで10安打を浴び、自責点5でマウンドを降りなければならなかった。

 理由は岩手大会決勝の途中で感じた右肘の違和感だった。やがて痛みに変わり、トレーナーと相談して電気治療を施しながら、投球練習をしないほぼ「ノースロ」の状態で初戦のマウンドに上がった。岩手大会の決勝から中22日の登板だった。

「最初の試合は日程に余裕があったので、良い投球ができました。それで次の試合まで同じように(ケアを)していたんですが、間に合わなかった」(松本投手)

 敦賀気比戦は、

「朝起きたときから肘が痛く、試合でもボールをリリースするたびに痛かった。バッティングも肘の影響で引っ張る打球が打てませんでした。試合で投げないという選択肢もあったかもしれませんが、ここまで来て(マウンドを他の投手に)譲るという気持ちはなかったです」

 という。盛岡大付の関口清治監督は、

「本人が『どうしてもマウンドに立ちたい、前回と同じように投げられる』というので先発させました。それでも無理に止めることもできたのだが……彼の想いをかなえさせたかった、というのが正直なとこです」

 松本投手は今後も投手としてプレーをしていく意思だ。これまで高校・大学をあわせて150人以上の投手の身体のケアをしてきたアスレティックトレーナーの西村典子さんは、

「これからのことを考えると、早めに病院にて専門医の診察を受け、ドクターと連携できる専門家のサポートを受けることをお勧めします。キチンと肘の状態を把握し、適切な治療とコンディショニングを行うことで、投手として復活することは可能です。そういう選手は何人も見て来ました」

 と、松本投手にエールを贈る。

 西村さんによると、肘と肩の問題は投手の個人差が大きいそうだ。

「私がみる限りでは、肩や肘の痛みは投球フォームと筋力的な問題、バランス(軸がしっかりしているか、投げた姿勢でブレがないか等)などに左右されるように思います。肩の前が痛いと訴えるなら、私はその選手のフォームチェックから始めますね」

 さらに西村さんは、

「投球障害は1日投げ込んだから翌日肩や肘が急に痛くなるという類いのものではなく、毎日の積み重ねが肩や肘に負担をかけ、徐々に痛みを発するようになります。ですから日々のコンディショニングを怠らず、投げた後にしっかりケアすることが特に投手にとっては大切です。そのためには普段の練習などから日常的にアスレティックトレーナーのサポートが受けられるような環境が望ましいと考えます」

 実際、強豪校のなかには「マイ・トレーナー」を「常設」しているチームもある。ライアン投法の山城大智投手を擁する沖縄尚学では、甲子園に2人のトレーナーを帯同させていた。

「OBでトレーナーになった者にボランティアで協力してもらっています。山城だけじゃなく、野手や練習でバッティングピッチャーをやってくれるベンチ外の3年生のケアもしてもらっています」(大城英健部長)

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン