ちなみに辞任演説で、当時、ソ連国会で大きな影響力を持っていた院内会派「ソユーズ(連邦)」の「黒い大佐たち」をシェワルナゼは厳しく批判した。「黒い大佐」の代表であるアルクスニス空軍大佐は、筆者の友人なので、シェワルナゼ辞任の真相について尋ねてみた。アルクスニスは、
「シェワルナゼは頭が良いので、ゴルバチョフ政権が泥船だということに気付いた。それだから、適当な理由をつけて、一旦、政界から引くことにした。今後は、ソ連よりもグルジアに活動の場を移すと思う。グルジアは、国家が分解しかけている。このような現状を何とかしなくてはならないとシェワルナゼは考えているのだと思う」
と言っていた。メドベージェフ、アルクスニスの見方は切り口は異なるが事柄の本質を衝いていた。シェワルナゼはソ連がいずれ崩壊するであろうことを見越していた。それと同時にグルジアの分解に何とか歯止めをかけようと考えていた。
※SAPIO2014年9月号