ビジネス

アベノミクス相場=円安相場か 円安が終われば魅力は乏しい

 2012年末にスタートしたアベノミクス相場で、日本株はそれまでの水準から大きくジャンプアップしたが、そもそもどうして上昇したのか。かつて米証券会社ソロモン・ブラザーズの高収益部門の一員として活躍し、巨額の報酬を得た後に退社した赤城盾氏が解説する。

 * * *
 思えば、昨年末は、円が対ドルで大きく下落していた。アベノミクス相場とは、要するに日米の金融政策の方向性の違いが金利差を拡大させるであろうという円安相場に過ぎなかった。

 円安が止まれば、長期的には人口が減少し、短期的にはさらなる消費増税が待ち構える日本という地域には、世界の投機資金を集める魅力は乏しい。

 もちろん、日本という地域に投資することと日本企業の株式に投資することは、同義ではない。日本経済が長期的に縮小していく中でも、海外市場を開拓して利益を伸ばし続ける日本企業はいくらでも存在しよう。

 しかし、中国に抜かれたとはいえ日本は未だ世界第3位の経済大国であり、その国内市場は巨大である。日本企業の大半は、大なり小なりそこに収益の基盤を置く。だから、日本の株式市場全体は、日本経済の行く末に関する思惑に連動することは避けられない。

 そもそも、自国以外の企業に投資しようと思ったら、先ずは経済成長が加速しそうな地域を探すのが普通のアプローチであろう。それが、日本株の動向を決めている外国人投資家の視点なのである。

 本当に日本経済の成長を加速させたいのであれば、何をおいても、労働人口の減少と国内消費の縮小に歯止めを掛けるために、大規模な移民の受け入れが必須のはずである。たとえ奇跡が起きて出生率が直ちに急上昇しても、経済成長の足しになるまで20年はかかるのだから。

 安倍政権の発足当初の熱狂的な外国人買いは、あるいは、そこまで踏み込んだ成長戦略に対する期待を含んでいたのかもしれない。しかし、安倍首相が「成長戦略の一丁目一番地」と意気込んだ薬のネット販売の解禁では、一部の企業の利益は増えこそすれ日本経済全体の成長にはつながらない。

※マネーポスト2014年秋号

関連キーワード

トピックス

ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン