国際情報

米医療界 日本では当たり前に行われている医療を無駄と指弾

「頭痛で脳波を調べるのは無意味」「前立腺がんのPSA検査はほとんど無意味」──アメリカの各医学会が、これまで行なわれてきた医療行為のなかで「無駄なもの」を追放するキャンペーンを始めている。

 こうした患者優先の医療は日本にも波及してくるのか。『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社)でこの取り組みを紹介した医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。

 * * *
 アメリカの医学会ではいま、「チュージング・ワイズリー(賢い選択)」というキャンペーンが行なわれている。2011年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団という非営利組織が始めたもので、2013年末までに71の医学会や団体が参加している。

 それぞれの分野で行なわれている無駄な治療や検査をピックアップして、国民に公表するという画期的な取り組みだ。現在までに、およそ50の医学会などがすでに約250項目について「無駄な医療」と認定している。

 例えば、がんの中にはいきなり手術をするのを避けた方がよいがんも存在しているのは意外と知られていない。それは前立腺がんである。

 前立腺がんは「前立腺特異抗原(PSA)」という物質の値を血液検査で測定できるようになっている。前立腺がんの可能性をその値の高さから判断できるのだ。結果として、前立腺がんが疑われて、前立腺に針を刺す精密検査からがんが判明する人が増えている。

 ただし、そのなかで命に関わるがんは意外と少ない。

 米国をはじめ、前立腺がんが見つかっても、定期的な検査をするのみで、手術をしない「アクティブ・サーベイランス」という考え方が一般化している。臨床研究の結果、アクティブ・サーベイランスでがんが広がらないかを検査しながら、本当に治療が必要なタイミングを探るだけでも、命を脅かすことはないと分かってきている。

 逆に言えば、日本では、前立腺がんが見つかったら、すぐに手術しましょうという場合も珍しくないはずだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン